S・チェリビダッケのシューマン第3交響曲「ライン」



令和三年にちなみ三番オシで始まった今年の音盤タイム。今夜はこんな盤を取り出した。


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チェリビダッケ指揮ミュンヘンフィルによるシューマンの交響曲第3番変ホ長調。もう二十年近く前になるが、晩年のミュンヘンフィルとの一連のライヴ録音がEMIから出たときの一枚。1988年の録音。カップリングは同じくシューマンの第4番。

この曲は第1楽章冒頭のフレーズ、序奏なしで勢いよく一気に立ち上がるテーマは新年の幕開けに相応しく感じる。そしてこのフレーズの扱いで演奏全体の印象が決まるように思う。ズワーンといくかパーンといくか…。オーケストラ音楽愛好家ならこのアインザッツの違いとイメージはすぐにわかってもらえるだろう。チェリビダッケはズワーンかつかなりソフトに始まる。以降もゆったりとしたテンポと深く暗めの音色でジワジワと音楽を進め、第1楽章展開部での寄せては返す緊張と解決、コントラバスの意味ありげな動きなど、ドイツロマン派の本流を好む向きにはたまらない展開となる。テンポを遅くとりながら緊張感と充実した響きを維持するのはオケのメンバーにとっては大変な負荷がかかる。この曲に限らず、チェリビダッケのテンポ設定と張り詰めた音響は、オケの団員が信頼と尊敬をもって彼に応じている何よりの証拠だ。第2楽章以降も音楽は常に悠揚迫らず、美しくかつスケール大きく進む。まさに「父なる河ライン(Vater rhein)」の悠々とした流れをイメージさせる名演だ。


この盤の音源。


エッシェンバッハ指揮SWR響による2019年の演奏。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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