M・ジュリアーニ:ロッシニアーナ第3番
4都県での緊急事態宣言に伴い、ぼくの仕事も昨年春同様、週2出勤・週3在宅のシフトとなった。在宅で出来ることが非常に限定されることもあって、業務進捗の観点からは歓迎出来ないのだが、一方で通勤時間の節約により日々の生活時間に多少の余裕が生まれる。この時間を有効に使おうと、きょうは日没後の時間にギターを出して少しさらうことにした。


選んだ曲は年頭からの三番シバリに従い、マウロ・ジュリアーニ(1781-1829)のロッシニアーナ第3番。2012年に現代ギター社から出た曲集を開いた。 ジュリアーニはギター弾きにはお馴染みかつ習得必須曲を多々残しているイタリア生まれの作曲家。元々はヴァイオリンやチェロを学び、その後ギターも習得。19世紀初頭のウィーンで作曲家兼ギタリストとして大そう人気を博し、その華麗な技巧を駆使して古典様式の曲を多く残した。ベートーヴェン、フンメル、ロッシーニらとも交流を持ち、ベートーヴェンの第7交響曲初演時のオケにチェリストとして入っていたという。 6曲残されている「ロッシニアーナ」は、その名の通り、当時人気絶頂だったロッシーニのオペラから題材を取ったポプリ。元のアリアの魅力というよりは、それを使った技巧的なパラフレーズが聴きどころだ。
第3番は6曲の中でも規模が大きい方に属する。明快で堂々とした序奏で始まり、他の曲同様、いくつかの当時流行ったオペラから採った主題を使って技巧的なフレーズが続く。この曲を弾きこなせるのは相当な上級者ということになり、ぼくのような自称中級レベルではまともに弾き通すのは困難だ。それでも、このロッシニアーナをたどたどしくでもさらう意義は十分にある。具体的には大きく二つ。まず古典的な常用フレーズに慣れ親しむこと。機能和声をベースにした緊張と解決の和声感もサンプルとして好適だ。もう一つはギターの特性を生かした技巧パターンの修得。低音域から最高音域まで一気に駆け抜けるフレーズなどを弾く際、どこでポジションの移動・跳躍をするか、次のフレーズを指板のどのポジションで弾くか、といった左手のポジショニングと跳躍の練習にジュリアーニの作品はとても役に立つ。中でもロッシニアーナ全6曲はそうしたジュリアーニが駆使した技巧の多くが盛り込まれていて、最上のテキストの一つだと思う。
ドイツのカーチャ・ヴォルフによる演奏。
名手フレデリック・ジガンテ(1961-)による演奏。ロッシニアーナ第3番。完璧に弾きこなしている。
ジュリアーニ作品の楽譜を以下で閲覧可能。ロッシニアーナはOp.119~124。
http://maurogiuliani.free.fr/en/integral.php
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