チェリビダッケの「展覧会の絵」



在宅勤務シフト継続中で、いろいろとペースが狂い仕事もはかどらない。きょうは天皇誕生日で休み。昼を挟んでちょいと外出。3時過ぎに戻ってきたあと、ひと息つきながら音盤タイム。先日来のチェリビダッケ連投で、こんな盤を取り出した。


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チャリビダッケ指揮ミュンヘンフィルによるムソルグスキー(ラヴェル編曲)「展覧会の絵」。1993年ミュンヘンでのライヴ録音。チェリビダッケの展覧会の絵にはいくつかの録音があるが、手元にはこの1993年と1986年東京サントリーホールでのライブの二つがある。この盤を東京ライヴと比べると基本的な曲の運びは同傾向ながら、細部ではいくつか違いがある。特に終曲「キエフの大門」の終わり近く、例のグランカッサが入るタイミングは、まったく異なる。
さて、この盤。聴きなれたラヴェル編曲…と言いたいところだが、聴きなれたとはとても言えない演奏だ。少し大げさに言うと、最初に聴いたとき、これが同じ編曲の展覧会の絵かと腰を抜かしそうになったほどだ。まず晩年のチェリビダッケの特徴としてテンポ設定が遅い。最初のプロムナードなど、誰もがえっと驚くだろう。しかも弦も管も音は徹底的にレガートかつテヌートに保持される。以下に続く各曲も押しなべて遅いテンポと周到に計算されたアーティキュレーションが続く。スケール感は最大限に拡張されつつも荒削りな豪放さではなく、眼光紙背に徹すのごとき拘りが貫かれる。

中でも「カタコンブ」の異様さは圧巻だ。どこまで続くのかと思わせる金管群の深い咆哮、突然のフォルテシモとそのあとに現れる脱力したピアノシモ。この「カタコンブ」の部分だけでもこの盤の価値があるように思えるほどだ。終曲「キエフの大門」では失速寸前までテンポが落とされ、同時にスケール感も拡大される。音楽を聴いていて息苦しくなることはないが、この盤に限っては、チェリのテンポで呼吸をしていると息絶えそうになるだろう。こんな演奏を組立てたチェリもチェリだが、その指示に従いブレスの限界まで吹き続けるミュンヘンフィルの金管セクションにも脱帽だ。凡百のオケならギャラを倍もらってもこんなテンポで吹き続けられないとクレームを付けるに違いない。そうさせないチェリビダッケ、そうしなかったミュンヘンフィル。この盤は双方の固い意志と深い信頼関係が生んだ名演だ。


この盤の音源。YouTubeにはこの音源がいくつかアップされているが、多くがCDトラックのつなぎ目で音が切れる。幸いこの音源にはそれがない。先に記した「カタコンブ」は27分2秒から。


1989年ミュンヘンフィルとのライヴ。コメント欄によると同じバイエルン州にある自動車メーカー・アウディ社の工場で撮られたようだ。アウディはミュンヘンフィルをサポートしている縁と記されている。



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