カラヤン&VPOのハイドンとモーツァルト
三月半ばの日曜日。この週末は大荒れの天気だったが、ひと雨ごとに春も近づく。少々気の早い桜の便りも聞こえてきた。きょうは朝から在宅で溜まった野暮用少々。夕方になって一服。アンプの灯を入れ、こんな盤を取り出した。


ヘルベルト・フォン・カラヤン(1908-1989)とウィーンフィルによるハイドン交響曲第104番ト長調「ロンドン」とモーツァルト交響曲第40番ト短調のカップリング。1950年代終わりから60年代初頭にかけて行われた英デッカへの一連の録音中の一枚。手持ちの盤は1960年代初頭の国内初出盤。かれこれ20年程前、近所のリサイクルショップのジャンクコーナーに100円也で並んでいて「ウソだろ!」と心の中で叫びながらレジに持って行った記憶がある。
当時、英デッカの名プロジューサー:ジョン・カルショーの肝入りで行われたカラヤン&ウィーンフィルによる録音は今も極めて評価が高い。その後続くグラモフォンでのベルリンフィルとの録音に比べライヴ感が強く、音楽に勢いがある。カラヤンにしては珍しく、少々のミステイクは意に介さず、録り直しなしで一気に録音した気配を感じる。ウィーンフィルの音色もまだかつてのローカルな個性を持っていた時期で、英デッカの鮮明な録音がそれにピタリとはまっている。
この盤で聴くウィーンフィルも実に流麗で素晴らしい音だ。モーツァルトは当時にしてみれば随分斬新だったのだろうが、今風のピリオドスタイルに比べると十分に重厚長大だ。音には重みがあり、たっぷりテヌートが効いている。弦楽器群は艶やかで、管楽器のソロも美しくチャーミングだ。モーツァルトの第3楽章メヌエットのトリオで聴こえてくるホルンの響きは、まぎれもなくウィーンフィルのホルンの音。ハイドンの傑作「ロンドン」も冒頭の重々しい序奏そして快速アレグロも軽くならず充実した響きが終始素晴らしい。
手持ちのこの盤は60年代初頭のものだが、当時英デッカが米RCAと契約していたことから、日本ではそのRCA系列だった日本ビクターからリビング・ステレオシリーズとして発売された。70年代になってこのカラヤン&ウィーンフィルの一連の録音がキングレコードから発売され、白いジャケットの廉価盤で出ていたのを思い出す輩も多いだろう。その頃に青春時代をおくった者としての懐かしさも手伝い、捨てがたい魅力を感じる盤だ。
この盤の音源。ハイドンの交響曲第104番ト長調「ロンドン」全4楽章
同 モーツァルト交響曲第40番ト短調 全4楽章
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