G・グールド モーツァルト幻想曲ハ短調K.475
三月半ば。業務の年度末進行は順調に進みつつあり休心。幾分気分も軽くなり、きょうは少し早めに帰宅した。最近になって、ここ数年サボっていた音盤棚の整理を始めたが遅々として進まず。きょうも少々手を付けたものの気がのらず即時休止。手を休めつつ、こんな盤を取り出して聴くことにした。

たいぶ前に出たグールドのボックスセット中の一枚。幻想曲ハ短調K.475とピアノソナタ第14番ハ短調K.457、それと同第16番変ロ長調K.570、同第17番ニ長調K.576、以上の曲が収まっている盤。K.475の幻想曲とK.457のソナタは調性も同じハ短調で、出版も2曲を併せて行われたことから一対の作品として扱われることが多い。この盤でのグールドの扱いもそれに準じる。この2曲と他の曲も含め、モーツァルトの充実した後期作品が並んでいる。
グールドのモーツァルト演奏はバッハ同様すべてが明晰で、各声部が団子にならず弾き分けられ、主要なモチーフがすっきりと浮き彫りにされる。まるでモーツァルトの書いた音を間引きしているのではないかと思うほどだ。さりげなく弾いているようで、高度な技術でコントロールされているのが分かる。和音やフレーズの緊張と解決、それを実現するための適切なアクセント、レガートとノンレガートの使い分け、倚音(いおん)の扱い、そういう音楽の基本的な法則と技術が的確になされている感じを受ける。とかくエキセントリックな側面だけが強調されるグールドだが、よく聴けば実にオーソドックスにやるべきことをやっているようの思えるのだ。幻想曲やK.457の第2楽章などでは深く瞑想的な展開もみせるが、決して重くは感じない。音響的にも、いつも通りモダン楽器の雄スタインウェイで弾いているのだろうが、楽器のチューニングと合わせてモーツァルト時代のピアノフォルテによる音のイメージを意識した演奏だ。
手持ちの盤からアップ。幻想曲ハ短調 K.475
同 第14番ハ短調 第1楽章。
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