アルベニス「スペイン組曲」
週末土曜日。朝から野暮用あれこれで日が暮れた。夕方近くになってようやく一服。先日のアルベニス「イベリア」で思い出し、ならばこちらも聴かなくてはと、この盤を取り出した。

イサーク・アルベニス「スペイン組曲」の管弦楽編曲版。フリューベック・デ・ブルゴス指挿ニューフィルハーモニア管による60年代中庸の英デッカ録音。この盤は7年前に亡くなったブルゴス(1933-2014)が残した御国物の一つで、管弦楽編曲もブルゴス自身によるもの。手持ちの盤は十数年前に廉価盤で出た際に買い求めた。原曲ピアノそしていくつかはギターへの編曲でも知られた曲が色彩豊かな管弦楽で奏され、スペイン物ファンでなくても一聴して楽しめるだろう。収録曲は他にファリャ/恋は魔術師、グラナドス/ゴエスカス間奏曲。
まったくぼく個人の感覚だが、クラシックギターの世界でスペイン物と聞いて真っ先に思い起こすのは、近代以降のアルベニスやグラナドス、ファリヤ、モンポウ。彼らのオリジナル作品やいくつかの編曲物だ。もちろんビウエラ時代の作品までさかのぼる系譜はあるだろうが、<スペイン物>という呼称・愛称からは遠い。またその後20世紀以降では、スペイン文化の影響色濃い中南米のギター音楽もあるにはあるが、スペインという独自の風土からは遠く感じる。
アルベニスやグラナドスというと決して大曲を残した作曲ではないし、近代音楽の系譜からすれば、本通りから少し入った路地に咲いた花、ちょっとローカルなサロン風音楽といった域を出ないかもしれない。しかし親しみやすいメロディーとスペイン色満載のリズムや和声感などは独自の魅力にあふれる。かつてはそれほど魅力とも思わなかったそうした資質がこの歳になって妙にシミる。 アルベニスやグラナドスのギター編曲物の数は多いのだが、いざ弾こうとするとこれが中々手ごわい。特に左手の難易度が高い。アルベニスのスペイン組曲からは何曲もギターにアレンジされているが、いずれもアマチュア上級以上向けだ。「グラナダ」をゆったり弾こうと思うが、ハイポジションの連続は、ちょっとした押え具合で高音弦の音程が不安定になる。華やかな「セヴィーリャ」は以前少しトライしたが、そのままだ。昔は何とも思わなかった「カディス」は現在もっとも弾いてみたい曲の一つだ。管弦楽版のスペイン組曲を聴いていると、もちろんギター独奏にはない多彩な色合いを感じるが、同時にスペイン物という一本通った筋は共通で親近感も覚える。
この盤の音源。全8曲。
ブルゴスが振っている映像があった。画質はやや乱れているが音は及第。
ギター版「セヴィリア」
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