ブルックナー交響曲第8番ハ短調



先回のブルックナー第5交響曲のケンペ盤に続き、きょうもケンペによるこの盤を取り出した。


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ルドルフ・ケンペ(1910-1976)指揮チューリッヒ・トーン・ハレ管弦楽団によるブルックナー曲第8番ハ短調の国内初出LP。この盤の録音がTUDORレーベルで国内発売されたのは録音から数年たった1976年、ケンペが亡くなった直後のことだったと記憶している。先日の記事にも書いた通り、当時はレコードも中々買えない貧乏学生時代。買っても千円の廉価盤が常だったが、この盤は例外的にレギュラープライス。多分、欲しくて欲しくてたまらず、そうとう思い切って買ったに違いない。今夜久々に取り出して聴いたのだが、演奏は昔の印象そのままに素晴らしい。

前回の記事で取り上げた第5番とは少々アプローチが違っていて、この第8番ではことさら巨大なスケール感を出そうとはせず、全体と通して早めのテンポと、キリッとしまった造形で聴かせる。どの楽章も思わせぶりなルバートや大見得はないし、テンポの切り替えも不自然なところがない。すべてが自然体。ブルックナーのスコアを信頼して、そのまま音にしているといった感じだ。第2楽章のスケルツォなど実にテンポ設定がよく躍進力に富むが、決して大声を上げて力で押す気配はない。第3楽章のアダージョではかなりロマンティックな解釈もみせるが、もたれる感じや過度の甘さはない。第4楽章も冒頭から整然とした疾走感で始まり、終始飽きさせずに進む。もともとこの録音は70年代前半に流行りかけた4チャンネル用に録られたようだ。この盤には4チャンネルの表記はないが全体にややベールがかかったような音、またティンパにや金管群の定位も遠めだ。CD復刻されたものは、そのあたりが改善されていると聞くがどうだろう。


この盤の音源で全4楽章。YouTubeには再生回数の多いもう一つの音源があるが、こちらの方が音質が良好。第2楽章16:22、第3楽章30:38、第4楽章58:19



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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