ショパン夜想曲集
気付けば今月も残るところ一週間。月末、張り切って行こうか!…という元気もとっくの昔になくなったなあ。 この歳になっても公私ともあれこれあって中々開放的な気分にはならない。還暦過ぎは黄金の二十年のはずだったが…。若い頃のツケが今頃回ってきているのかなあ…などとブツブツ。まあ仕方ない。気を取り直して、先日聴いたポリーニのショパンで思い出したこの盤でも聴こうか。

ヴァレリー・アファナシエフ(1947-)の弾くショパン夜想曲集。日本コロンビアの廉価盤クレストシリーズの1枚。1999年、すぐれた音響で知られ、幾多のCD録音も成されている当地群馬県東部にある笠懸野文化ホールでの録音。
この盤で取り上げられた夜想曲は全部で9曲。そのうち7曲が短調作品。そして夜想曲として一番ポピュラーな作品9の2は収録されていない。もちろんアファナシエフの意図的な選曲によるのだが、その裏にはショパンに対する彼のイメージがある。ショパンのノクターンというと甘くロマンティックで夢想的でと、何やら乙女チック(もはや死語か…)な世界を連想する。それは夜想曲だけでなく、一般にはショパンそのもののイメージにもつながっている。しかし、小説を書き、現代思想やインド哲学にも傾倒するアファナシエフはライナーノーツでこう書いている。「ショパンは素敵でもなければ、チャーミングでもない、ショパンは魂の音楽」。まったくその通りだ。そしてショパンの魂は短調作品にこそ宿るというわけだろう。
ショパンの夜想曲という言葉からもっとも安易に想像しがちな、サロン的で慰安に満ちたロマンティックで美しい曲想とは対極にある演奏だ。遅いテンポ、次の音が出てこないのではないかと思わせるほどの休止符、研ぎ澄まされ贅肉のないタッチと音色…。そうしたものすべてが集合し、夜を想うどころか、死の闇に想いをはせ、引きずり込まれそうになる寂寥感に満ちたショパンの夜想曲が奏でられる。
嬰ハ短調「遺作」
ト短調 作品37の1
その戦争体験記が映画「戦場のピアニスト」の原作となったウワディスワフ・シュピルマン(1911-2000)による演奏。
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