アバドvs.マーク 「スコットランド」



今週梅雨入りした関東地方。通勤の車窓から曇り空の関東平野を眺めていると、趣きは違うだろうが、ふとスコットランドの荒野を思い浮かべ(行ったこともないのに…)、こんな盤を取り出した。


202106_Mendelssohn_Scoth.jpg


メンデルスゾーンの交響曲第3番イ短調「スコットランド」。手元にあるいくつかの盤の中、写真の2枚を続けて聴いた。1枚はペーター・マーク(1919-2001)指揮ロンドン交響楽団の盤、もう1枚はクラウディオ・アバド(1933-2014)指揮の同じくロンドン響の盤(アバドのこの曲の録音のうち最初のもの)。共にこの曲の名盤案内には確実に登場する演奏だ。

この二つの録音には、録音時期に10年ちょっとの開きがあるが、共にオケがロンドン響であること、録音も英デッカであることなど共通点がある。マーク盤はデッカのくっきりとした録音にたっぷりとした表情をのせた演奏で、第1楽章の序奏など切々と胸に迫ってくる。この曲はこの序奏だけでも聴く価値があるというのが持論だ。序奏の中間部、トランペットが出てティンパニが加わり、コントラバスが上昇音階を奏する辺りは、聴くたびにゾクゾクとしてくる。一方のアバド盤は同じロンドン響を振りながら、より整った印象を受ける。弦のメロディーはビブラートが控えめでピッチがぴたりと合い、すっきりかつしなやかな印象だ。チェロ・コントラバスの扱いも抑制を効かせている。

ぼくはアバドの熱心なファンでもなく手持ちの音源も少ない。カラヤンのあとを受けて10年ほど在籍したベルリンフィル時代の演奏も、あまり評判がよろしくない。がしかし、この曲は彼の資質がプラスに働き、しなやかでよい演奏だ。一方マークはこの盤以外、オケや録音にあまり恵まれず、2001年に世を去った。晩年にはパドバ・ベネト管弦楽団を振って得意とするモーツァルトの後期交響曲の録音を残した。そのCDが手元にあるが、あまり印象に残っていない。


この盤の音源。全4楽章。ペーター・マーク&ロンドン響。第1楽章序奏から主部に入るあたりまで。遅めのテンポ。1分50秒辺りからの滔々たる進行。2分20秒でのトランペットの強奏。2分26秒過ぎからの低音の上昇音階…。何度聴いても名曲名演だ。


同 アバド&ロンドン響



■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

No title

 毎日のように、拝見させていただいているのですが、用事が多く体調も崩れて書き込みにまでいたりませんでした。
 MendelssohnのSymphonyは、最近ではFMで聞くくらいになってしまっています。私の好みとしては、先入観からなのか下記のようになっています。このような曲をゆったり聞けるのは、ぼけて施設にでも入ってからなのだろうかと思う今日この頃です。
Mendelssohn:SymphonyNo.3:Sir Neville Marriner、Mendelssohn:SymphonyNo.4:Guido Cantelli

Re: No title

osaka59さん、まいどです。
趣味のいいチョイスですね! グイド・カンテッリはかねてより評判の高さは承知していますが、未経験です。
>> ぼけて施設にでも入ってから…いやいや、そうなってからでは前後不覚。お互い、元気なうちに聴きましょう!(^^;

マークのスコットランド

ペーター・マークのスコットランド、よかったです‼️🎵😄

Re: アバドvs.マーク 「スコットランド」

こてっちゃんさん、ちょっとお久しぶりです(^^)
ペーター・マークのスコッチは本当に素晴らしい! いろいろ他の演奏も聴きましたが、やはりこの演奏に戻ります。
ところで…ギターの方はいかがですか。私は左手人差し指が不調で困っています。

お大事にしてください。

左手の人差し指、どのような感じなのでしょうか?
お大事にしてください。
私の方は週末に一人で弾くだけですので、ぼちぼちです。😅

Re: お大事にしてください。

左手人差し指の第一関節に鈍い痛みがあり、伸ばした状態からグッと曲げるのが厳しいですね。先日、整形外科で診てもらったところ、へバーデン結節確定診断となりました。レントゲンをみると第一関節の軟骨がほとんど無くなっています。そんなに練習したわけでもないのに… ただ、弾き始めると一時間以上休まずガンガン弾き続ける癖があり、それもいけないのでしょう。もちろん加齢も…
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

カレンダー
05 | 2023/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
最新記事
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
月別アーカイブ
QRコード
QR
閲覧御礼(2010.10.01より)