アバドvs.マーク 「スコットランド」
今週梅雨入りした関東地方。通勤の車窓から曇り空の関東平野を眺めていると、趣きは違うだろうが、ふとスコットランドの荒野を思い浮かべ(行ったこともないのに…)、こんな盤を取り出した。

メンデルスゾーンの交響曲第3番イ短調「スコットランド」。手元にあるいくつかの盤の中、写真の2枚を続けて聴いた。1枚はペーター・マーク(1919-2001)指揮ロンドン交響楽団の盤、もう1枚はクラウディオ・アバド(1933-2014)指揮の同じくロンドン響の盤(アバドのこの曲の録音のうち最初のもの)。共にこの曲の名盤案内には確実に登場する演奏だ。
この二つの録音には、録音時期に10年ちょっとの開きがあるが、共にオケがロンドン響であること、録音も英デッカであることなど共通点がある。マーク盤はデッカのくっきりとした録音にたっぷりとした表情をのせた演奏で、第1楽章の序奏など切々と胸に迫ってくる。この曲はこの序奏だけでも聴く価値があるというのが持論だ。序奏の中間部、トランペットが出てティンパニが加わり、コントラバスが上昇音階を奏する辺りは、聴くたびにゾクゾクとしてくる。一方のアバド盤は同じロンドン響を振りながら、より整った印象を受ける。弦のメロディーはビブラートが控えめでピッチがぴたりと合い、すっきりかつしなやかな印象だ。チェロ・コントラバスの扱いも抑制を効かせている。
ぼくはアバドの熱心なファンでもなく手持ちの音源も少ない。カラヤンのあとを受けて10年ほど在籍したベルリンフィル時代の演奏も、あまり評判がよろしくない。がしかし、この曲は彼の資質がプラスに働き、しなやかでよい演奏だ。一方マークはこの盤以外、オケや録音にあまり恵まれず、2001年に世を去った。晩年にはパドバ・ベネト管弦楽団を振って得意とするモーツァルトの後期交響曲の録音を残した。そのCDが手元にあるが、あまり印象に残っていない。
この盤の音源。全4楽章。ペーター・マーク&ロンドン響。第1楽章序奏から主部に入るあたりまで。遅めのテンポ。1分50秒辺りからの滔々たる進行。2分20秒でのトランペットの強奏。2分26秒過ぎからの低音の上昇音階…。何度聴いても名曲名演だ。
同 アバド&ロンドン響
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