M・レーガー:モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ作品132
月があらたまって…日曜スタートの令和三年葉月八月。公私ともに程々に悩み抱えつつ相変わらずの毎日。気付けば本ブログも11年と10ヶ月。もうやめるぞ!…と思いながら、先日来の流れでキーワードはモーツァルト。今夜はこんな盤を取り出した。

マックス・レーガー(1873-1916)晩年の傑作、「モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ作品132」。ハインツ・ボンガンツ指揮ドレスデン国立ザクセン管弦楽団(本盤の表記。SKDの別称)による演奏。手持ちの盤は1971年の国内初出盤。これも十年程前にネットで激安箱買いしたLP盤ストックに中に入っていたもの。ぼくはこの盤で初めてこの曲を知ったが、レーガーの作品として最も完成度の高いものの一つとして、シューリヒト、クナッパーツブッシュ、ベーム他、古くから独墺系指揮者による録音が残されている。
モーツァルトのピアノソナタ第11番「トルコ行進曲付き」第1楽章の主題をモチーフにし、8つの変奏と終曲のフーガが続く。後期ロマン派から近代に差し掛かる辺りの音楽的潮流、しかし軸足は後期ロマン派といえるレーガーの作風で書かれた曲。演奏時間も30分を越える堂々とした構成だ。
主題の提示はオリジナルに忠実な和声感をロマン派以降の厚めの管弦楽技法で提示される。第1、第2変奏は原曲モチーフを忠実にトレースしながら濃厚なロマンティシズムを織り交ぜつつ進み、短調に転じる第3、4、5変奏で一層その色合いを強める。第4変奏はブラームスのハイドン・ヴァリエーションの第6変奏によく似た作風で思わずニヤリとしてしまう。スケルツォ風の第5変奏はときにリヒャルト・シュトラウスを思わせる。第6、7変奏では再び長調となり、原曲の旋律を生かしたロマン派風展開となる。第8変奏モルト・ソステヌートは、さながら交響曲の緩徐楽章的な位置付けで、メランコリックで美しい和声が続き、この曲一番の聴きどころといっていいだろう。終曲フーガは、二重フーガとして展開し、終盤で主題が金管群によって高らかに回顧されて大団円となる。
こうしてあらためて聴いて、レーガーの天賦の才と、濃厚なロマンティシズムのあふれる作風と美しさに心打たれる。有名な無伴奏チェロ組曲などとは、また違った角度から、気安くレーガーサウンドを楽しめる。取り分け、ブラームス好きを自認する輩などには好適な一曲かと。
N響をマレク・ヤノフスキ(1939-)が振った音源があったので貼っておく。1985年昭和のN響の懐かしき面々。聴きどころの第8変奏は15分30秒過ぎから。
この盤の音源。第8変奏
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