ドヴォルザーク交響曲第7番ニ短調




きのうは文化の日。いつもより少し遅く起き、ゆっくりと朝の珈琲を味わう。午前中、これといった用事もなかったのでアンプの灯を入れ、先日聴いたドヴォルザークの続きで、この盤を取り出した。


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ジョージ・セル(1897-1970)と手兵クリーヴランド管弦楽団によるドヴォルザークの交響曲第7番ニ短調。1960年録音。手持ちの盤は数年前にセルの録音が少しまとまってリリースされたときのもので、この2枚組のアルバムには7番の他、第8番、第9番「新世界から」、「モルダウ」と歌劇「売られた花嫁」から4曲が収録されている。第7番はセル唯一の録音。

今更説明は不要だが、ドヴォルザークの第7番は人気の第8番や第9番に勝るとも劣らない名曲だ。ぼく自身は8番や9番よりもこの7番を好む。ブラームスの第3番に触発されて作られたこともあって、いわゆるボヘミア色は少し控えられ、ニ短調による渋く古典的な風合いが素晴らしい。

セルとクリーヴランドの演奏はいつもながら精緻なアンサンブルで隅々まで神経が行き届き、一切の弛緩を感じさせない。セルの気合の入り方も尋常でないのか、第1楽章から時折り力の入ったトゥッティでは、振り下ろす指揮棒に合わせて出ていると思われるセルのうなり声も聴こえてきて、聴いているこちらも思わず手に汗握る緊張MAX状態になる。第1、第2楽章の力強く構築的な雰囲気もいいが、第3楽章のフリアントによるスケルツォ、そして終楽章では内に秘めるエネルギーとその放出がスタジオセッションとは思えないライヴ感あふれる音となって表出する。録音もかつて廉価盤LPで出ていたときのネガティブな印象はなく、このときリリースされたCDでは細部までくっきり録られている。最新録音に比べるとヴァイオリン群の音にやや歪っぽさを感じるが、低域はコントラバス基音までしっかりと聴き取れ、このコンビの実力のほどを細部まで確認できる。


この盤の音源。全4楽章


南米コロンビア生まれのアンドレス・オロスコ=エストラーダ指揮hr交響楽団(フランクフルト放響)による今年4月の演奏。やや小さめの編成。



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いい曲、演奏ですね。

セルとクリーヴランド管のドヴォルザークは、第8番と第9番をLPで聴いていて、第7番はずっと後にパブリックドメインになってから入手しました。いい曲、いい演奏ですね。その前は、ずっとクーベリックの録音でした。昔の記事ですが、スメタナの死を悼んで作曲したあたりを調べたことがありました。
https://blog.goo.ne.jp/narkejp/e/314936046b11b1ee58c3232460ebc658

Re: いい曲、演奏ですね。

narkejpさん こんばんは。お久しぶりです。山形はもう冬支度でしょうか。
ブダペスト生まれのセルは、父がハンガリー人、母がスロバキア人ということですから、セルにとってボヘミアは故郷そのものでしょうね。ドヴォルザークを指揮するときは、きっと心底共感していたに違いありません。
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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