ノイマン&チェコフィルのドヴォルザーク交響曲第8番



早いもので11月も三週間が過ぎた。
週末土曜日。ちょっとした野暮用あって昼前から外出し、三時過ぎに帰宅。渋茶で一服しつつアンプの灯を入れ、こんな盤を取り出した。


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ヴァツラフ・ノイマンとチェコフィルハーモニー管によるドヴォルザーク交響曲第8番ト長調。1972年録音。手持ちの盤は1974年に日本コロンビアからリリースされた国内初出盤。例によって以前大阪出張の折、梅田の中古レコード店で手に入れた。同じドヴォルザークの「スケルツォ・カプリチオーソ」が併録されている。

今も昔もドヴォルザークは人気の作曲家だが、その認知度の大半は交響曲第9番「新世界から」による。次いで第8交響曲やチェロ協奏曲、そして第7番、第6番の交響曲、ピアノ協奏曲やヴァイオリン協奏曲あたりが続くだろう。ぼくがクラシックを聴き始めた70年代もほぼ似たような状況だったと思うが、その中で当時は「新世界から」に対して「イギリス」という名前が付されることの多かったこの第8番の交響曲はちょっとしたブームといえるほど人気があった。 そして第8番人気の火付け役となったのが、このノイマン&チェコフィルによるレコードだったと記憶している。この曲のレコードはもちろん当時もいくつかの盤が流通していたが、本場物というイメージと、1968年のチェコ事件でカナダに去ったアンチェルのあとを受けてチェコフィルのシェフとなったノイマンが度々同団と来日したことも手伝ってこの盤はよく売れ、FMでもしばしば流れた。その証拠にこのコンビは以降この曲を80年代、90年代と再録している。

久々に針を下したが、当時FMエアチェックしたカセットテープで繰り返し聴いた頃の光景が即座によみがえってきた。かつて<黄金の弦>と称されたチェコフィルではあったが、チェコ事件での混乱を受けたノイマン時代初期の出来栄えには辛口の論調も多かった。実際こうして聴いてみても、磨き上げられた響き、洗練された高い技量、水も漏らさぬアンサンブルというイメージからは少々外れる。旋律線のフレーズも意外にあっさりと、ぶっきら棒でさえある。反面惹きつけられるのは、緊張を強いらない程々のテンポ設定、流麗になり過ぎない実直な歌いっぷり、まだグローバル化する前の時代の音色感等々。当時も人気を得ていたであろうセル&クリーヴランド管やカラヤン&ウィーンフィル盤などより、その頃の日本人の耳には受け入れやすかったのだろうと、今になって思う。そして、素朴な表現ながらも自分たち音楽というチェコフィルの自負も感じさせる演奏だ。


この盤の音源。第1楽章


弦楽5部によるアレンジ。しかも小編成。中々面白い! 全4楽章


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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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