ジョン・リル(P)のベートーヴェン



週明け月曜日。都内仕事先で某関係先とオンライン打合せ。試行錯誤あったが、この一年でオンラインでの打合せや会議もすっかり定着した。メリット・デメリットそれぞれあるが、今のところこの潮流は逆戻りすることはなさそうだ。17時過ぎ、すっかり乗客数も戻った感のある新幹線で帰途につき、いつも時刻に帰宅。ひと息ついて今夜はこんな盤を取り出した。


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以前一度取り上げたジョン・リル(英1944-)の弾くベートーヴェンのピアノソナタ全集。その中から第24番「テレーゼ」、第26番「告別」が入ったディスクをPCのドライブにセットした。2000年頃にブリリアントレーベルから出た激安ボックスセット。当時は激安ボックスセット勃興期とでもいうべき時期で、その雄ブリリアントクラシックスからは次々と企画物ボックスセットが発売された。折からインターネットで様々な情報が飛び交い、通販も気安く出来る時代になったこともあり、ぼく自身も勢いに任せて随分と散財した。このジョン・リルのセットもそんな中のひとつだ。原盤は英エニグマ。

ジョン・リルは1970年のチャイコフスキーコンクールの覇者で、英国内では相応の人気もあり、録音も残しているが、世界的にみると決してメジャーな存在ではないだろう。近年度々来日もしているようで、その際の評価もまちまちのようだ。手持ちのベートーヴェン:ピアノソナタとしては、グルダのアマデオ盤LPとブレンデルのフィリップス録音があるが、それらと比べるとこのジョン・リル盤は中々個性的だ。

まず音楽の構えが大きい。ゆったりとしたテンポ設定、重量感のあるタッチで、堂々とした弾きぶり。細かいところに聴き耳を立てると、少々怪しいところもあるのだが、そういう仔細なことをうんぬんするのもどうかなあと、この演奏を聴いていると思ってしまう。演奏はスタジオでの一発録音を思わせるもので、ライヴを聴いている感さえある。手元に資料がないのではっきりしないが、録音は90年代前後と思われ、曲によって音質に少々バラツキがあるが、総じて良好だ。

ピアニストにして文筆家の青柳いずみこ氏はジョン・リルを<ヴィンテージ・ピアニスト>に分類し、2014年の来日公演を絶賛している。そしてその資質からブラームスがとてもよかったと評している。まったくそうに違いない。この音色感、重量感ある弾きぶりでブラームスを聴いてみたい。


手持ちの盤からアップした。第24番嬰ヘ長調「テレーゼ」第1楽章


同 第26番変ホ長調「告別」第1楽章



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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