ハイドン交響曲第78番ハ短調
きのう23日は祝日で仕事は休み。「勤労感謝の日」…あらためて口に出して唱えると、何だか随分と昔の出来事のように感じる。祝祭日もかつての暦では通じなくなってしまって久しい。きのうはそんな年寄じみた感慨を抱きつつ、脈略なくこんな盤を取り出して聴いた。

フランツ・ヨーゼフ・ハイドン( 1732-1809)の交響曲第78番ハ短調。デニス・ラッセル・デイヴィス指揮シュトゥットガルト室内管弦楽団による全集中の一枚。この盤にはいわゆる「イギリス交響曲」と称される第76番、第77番、第78番の3曲が収められている。イギリスとの縁が深かったハイドンにとっては、のちの「ロンドンセット」と呼ばれる傑作群の前哨戦という感がある。特にこの第78番は20分程のさして規模の大きな曲ではないが、第45番(1772年)以来10年ぶりに短調作品で聴きどころの多い作品だ。
第1楽章は同じハ短調をとる、のちの第95番を思わせる印象的なユニゾンで始まる。演奏解釈によっては悲劇的で緊張を感じる印象にもなるだろうが、この盤でのラッセル・デイヴィスはあえてそうした緊張を避けるように、柔和なフレージングでこの冒頭句を演奏している。すぐに同じ主題が弱音で繰り返され主部が始まる。ハ短調という調性からイメージする悲劇性があまり前面に出ないのは、三拍子で曲の流れがよく、時折りみせる長調への転調のためかと思う。展開部はそう長くはないものの、ハイドンの技巧が遺憾なく発揮されて素晴しい効果をあげている。続く第2楽章は穏やかなアダージョ。牧歌的なモノローグを聴く感があるが、時折り意表を突く転調もあって、単調な箸休めの緩徐楽章にはなっていない。第3楽章は型通りのメヌエット。トリオ部も主部と同じハ長調を取るのは少し珍しいだろうか。第4楽章フィナーレはハ短調で始まるロンド形式で、同主調(ハ長調)平行調(変ホ長調)を交差させながら快速調に進み、最後はハ長調で曲を閉じる。
先に記した通り、ラッセル・デイヴィス&シュトゥットガルト室内管弦楽団による演奏は落ち着いたテンポと過度な緊張を避けた解釈。ハ短調という調性から劇的なものを期待する向きには少々ぬるく感じるかもしれないが、これはこれで個性ある良い演奏だと思う。
この盤の音源。手持ちの盤からアップ。第1楽章ヴィヴァーチェ
同 第2楽章アダージョ
同 第4楽章プレスト
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