チャイコフスキー交響曲第4番ヘ短調



11月最後の日曜日。関東地方はきのうから寒気流入で一気に冷え込んだ。当地群馬県山間部のあちこちからは雪の便りも。冬到来かぁ…と、ひとり言をつぶやきながら初冬の音盤タイム。


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冷え込む晩、アラジンストーブに灯を点け、チャイコフスキーの交響曲を絞り気味のボリュームで聴く。ゆらゆら揺れるストーブの青い炎とレコードの針音がシンクロする…ちょっとキザ表現だが、そんな光景だ。

音楽とその地域性や風土、季節性を強く感じる音楽とそうではない音楽とがある。例えばぼくの場合、チャイコフスキーやシベリウスを聴くのは圧倒的に冬の期間が多い。あるいはブラームス第4交響曲の冒頭の弦の主題を聴くと秋の深まりを感じる。そしてチャイコフスキーの交響曲第4番第1楽章冒頭のファンファーレを聴くと、ああ冬が来たなあと思うのだ。

チャイコフスキー第4番は高校生の時分、クラシックをぼちぼち聴き始めた頃からの付き合いになる。きょう取り出しのたのは70年代初頭にグラモフォンの廉価盤レーベル「ヘリオドール」シリーズで出ていた盤。ぼくら世代のファンには懐かしいジャケットデザインだろう。1960年にロリン・マゼール(1930-2014)がベルリンフィルを振った録音で、マゼールのベルリンフィルへのデビューであったと何かで読んだ。この盤では若き天才マゼールが速めのイン・テンポで颯爽と曲を進める。そしてそれに応えるベルリンフィルが素晴らしいサウンドを展開する。押し出しのいい金管のファンファーレ、一糸乱れぬ弦のアンサンブル、そして全体を支配するややほの暗い音色。カラヤンに飼いならされる前の、かつてのベルリンフィルの響きが残っている。 この盤を買ったのはぼくが高校3年のときだ。受験が終わったら思い切り聴いてやるぞと思いながら、アラジンではない国産のときどきススの出る調子の悪いストーブで暖を取りながら机に向かっていたのを思い出す。あれからやがて半世紀。受験も記憶の彼方。受験だけでなく、いろんなことが始まりそして終わった。この盤だけが当時の思い出そのままに、何も変わらずに懐かしい針音を聴かせてくれる。


この盤の音源。全4楽章


小林研一郎が振る洗足学園音大オケ(洗足学園音楽大学に3つあるオケのうちの一つ「レパートリーオーケストラ」)による演奏。



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