セゴビア・コレクション第7集「タンスマン・ドビュッシー・ルーセル作品集」



しばらくギターねたが途切れてしまった。少し前から聴き直しているセゴビアの演奏。第4集まで聴いてきたが、第5集と第6集は比較的最近記事にしているので、きょうはそれらをパスしてこの盤を取り出した。


202112_Segovia_Collection_7.jpg


アンドレス・セゴビア(1893-1987)のMCA録音をCD復刻したセゴビア・コレクション中の第7集。アレキサンドル・タンスマン(1897-1986)の代表作を中心にした中々よい選曲の1枚。収録曲は以下の通り。

前奏曲~組曲「ショパンを讃えて」より (タンスマン) rec.1969
カヴァティナ組曲 (タンスマン) rec.1954/1965
ポーランド組曲 (タンスマン) rec.1965
亜麻色の髪の乙女 (ドビュッシー) rec.1962
セゴビア 作品29 (ルーセル) rec.1958
三つの小品 (タンスマン) rec.1958
マズルカ(タンスマン) rec.1963

タンスマンはセゴビアと同時代人で交流も深く、そのギター作品の多くがセゴビアのために作曲された。新古典主義的な手法とポーランドの民族的要素とを併せ持つタンスマンの作風は聴いても弾いても楽しく、「ポーランド風組曲」の楽譜は学生時代に手に入れて弾いていたもの。組曲「カヴァティーナ」の終曲「ダンツァ・ポンポーザ(華麗なる舞曲)」も70年代に音楽之友社から出ていたセゴビアアルバムで親しんだ懐かしい曲だ。「ポーランド風組曲」には、その名の通りマズルカやポロネーズといったタンスマン自身の出身地でもあるポーランド由来の舞曲形式の曲が散りばめられ、素朴なメロディと、ときに近代的な和声がバランスしてヨーロッパのやや辺境へのイマジネーションをかき立ててくれる。

この盤でも聴かれるセゴビアの太くたっぷりとしたトーンや随所にみられるポルタメント、テンポ・ルバートは19世紀ロマンティシズムを引きずっていると言われる。しかしこうしてあらためて聴いてみると全体のテンポ感は思いのほか正確できっちりしているし、決めどころの和音やスケールでの切れ味も十分。その昔感じていた「酔っ払ったような」印象はない。セゴビアの演奏が変わったわけでもなく、聴く側のこちらが変わったのか、セゴビアの懐深さが分かるようになったのか…。いずれにしても唯一無二のセゴビアトーンを楽しめることと、選曲の良さからもよいアルバムだ。


セゴビアの弾くタンスマン「カヴァティーナ」 1982年セゴビア89歳のときの録音。この年には1980年に続き4度目の来日を果たしている。


ポーランド風組曲の「Tempo de polonaise」を弾くセゴビア。60年代半ばの映像と思われる。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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