フルトヴェングラーのシューマン第四
正月明け頃までの少々楽観的な空気がこの一週間で一転。再び不穏な状況になってきた。三連休明けの火曜日。都内での仕事を予定通り終え、いつも時間に帰宅した。ひと息ついて、相も変らぬ音盤道楽。年頭からの四しばりの続きで、こんな盤を取り出した。

先日も取り上げたシューマンの交響曲第4番ニ短調。フルトヴェングラー(1886-1954)とベルリンフィル(BPO)による演奏。1953年5月、70年代初頭までBPOの多くの録音が行われたベルリン・イエスキリスト教会での録音。語る必要もない名盤。フルトヴェングラーの数ある名盤の中でも屈指といっていい。手持ちの盤は80年代初頭にオリジナルモノラルカッティングで出たシリーズ中の一枚。同じシューマンの「マンフレッド序曲」とウェーバー「オイリアンテ序曲」とのカップリング。まともなセッション録音が少ないフルトヴェングラーの盤の中では異例ともいえる録音条件の良さもあって、モノラルながら往時のBPOサウンドが聴ける貴重な盤だ。
深く柔らかいアインザッツ、渋い音色の弦と木管群による重厚なサウンドバランス、そして晩年のフルトヴェングラーの幻想的な解釈に呼応し、素晴らしいアンサンブルとアーティキュレーションで応えるBPO。 第1楽想冒頭のユニゾンからして、その深い響きに圧倒される。主部はやや遅めのテンポでじっくり進む。テヌートの聴いたヴァイオリン群、ときに唸りを上げる低弦群。緊張に向かって一気にクレッシェンドをかけるティンパニ。そして緊張が解けたあとの、溜め息が聴こえてきそうな寂寥感に満ちた表現。どこを取ってもフルトヴェングラーならではの幻想的でドラマティックな解釈だ。
この盤の新たなマスタリング音源。 このチャンネルは多くの古いモノラル音源をマスタリングしてアップしている。帯域バランス、位相他かなり手が入っていると思うが、これはこれで聴きごたえがある。 第1楽章。5分30秒:展開部へ入るところで譜面音価の倍近く引き伸ばされるユニゾン。その後6分00秒から6分20秒辺り:長い経過句も緊張が途切れず、コントラバスが意味深く鳴り続ける。その後6分23秒に向けてクレッシェンド。6分50秒からの付点音形トゥッティの重いアインザッツ。7分12秒~:一旦解決したあとの幻想的な弛緩。7分55秒~:次の山に向かって緊張を高める金管群・・・。 23分30秒~:終楽章導入部の素晴らしさ。その直前第3楽章から終楽章にかけての接続も緊張感に富む。そして終楽章の最後、31分過ぎからは息をも付かせず突き進む。
オリジナルのモノラル(に近いと思われる)音源。
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