モーツァルト ピアノ協奏曲第22&23番
冬型の天気が続く関東地方。これから二月初旬までがもっとも冷え込む時期だ。週明け月曜日のきょう。いつも通りに仕事に(程々に)精出し、いつもの時刻に帰宅した。松の内の終わったので、令和四年にちなむ「四しばり」も解除。今夜はこんな盤を取り出した。

内田光子が80年代にジェフリー・テイトと組んで完成させたピアノ協奏曲全集の中の一枚。第22番変ホ長調と第23番イ長調が収録されている。ぼくの手元にある内田光子のアルバムはわずかに数枚。実演にも接していないし、彼女の演奏を語る資格もなく、ここは淡々と先入観無しにモーツァルトの音楽を楽しもう。
この盤に収録されている22番と23番はセットで作曲されたとのこと。実際、オーボエに代ってクラリネットを使っている編成、第2楽章の緩徐楽章を短調にしている構成など共通点がある。22番は三つの楽章合せて35分を超える堂々とした構成。第1楽章はトランペットとティンパニを伴った典礼的な雰囲気で始まる中々華やかな楽章だ。途中には木管群による美しい掛け合いもあって楽しめる。第3楽章は典型的なロンド楽章。演奏時間12分と比較的長いロンドだが、展開と管弦楽の妙で飽きさせない。
23番は24番ハ短調のコンチェルトを並んで傑作の誉れ高い名曲だ。22番の華やかな曲調から転じて、第1楽章は弦楽中心の落ち着いた響きで始まる。編成上トランペットとティンパニを含まないことも落ち着いた曲想の要因だろう。第1楽章冒頭のE~C#の音形は、この曲の他クラリネット協奏曲、クラリネット五重奏曲の開始モチーフと同じとWikipediaで知ってなるほどと合点。調性も同じイ長調だし、この協奏曲でもクラリネットが活躍する点も共通だ。第2楽章はシチリアーノ風で、短いながら冒頭から弦楽群の繰り出すフレーズが嬰ヘ短調で切々と歌われ、ときにショパンを思い浮かべるようなロマンティックな表情すら見せる。聴き進めているいるうちに、この曲が18世紀終盤の古典派の楽曲であることを忘れてしまいそうになる。
内田光子のピアノの音色は美しく、以前取り上げたショパンのアルバムでみせた積極的な表現よりは、穏やかに曲に寄り添うように弾き進める。テイト指揮イギリス室内管弦楽団はもちろんピリオドスタイルではなく、オーソドクスなアインザッツと深みのある響きが心地いい。デジタル録音も定着した80年代後半のフィリップス録音。ピアノとオケがよくブレンドしながらもクリアな響きを失わない録音も二重丸だ。
この盤の音源。傑作第23番全曲。11分23秒から始まる第2楽章アダージョ。8分の6拍子でピアノがテーマを提示し、12分18秒からヴァイオリンと木管群がユニゾンでそのテーマを歌い上げる。12分35秒から45秒にかけての和声の移ろいが素晴らしい。低弦群の下降半音階進行が意味深く響く。
同 22番変ホ長調 全3楽章
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