ダイアナ・クラール「Love Scenes」



年明けの仕事始めから二週間程過ぎた。三月の年度末までの業務もほぼ具体的な案件が確定し、このまま行けば大過なく年度末を迎えられそうだ。唯一最大の懸念は変わらずコロナ感染リスク。出来る用心をするしかない。 さて、週半ばの水曜日。今夜はジャズ。久しぶりにこの盤を取り出した。


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ダイアナ・クラール(1964-)ヒット作の一つ「ラヴ・シーンズ(Love Scenes)」。1997年録音。…金髪美人+上品なピアノ+実力派ヴォーカル=ダイアナ・クラール。95年に「オンリー・トラスト・ユア・ハート」でデビューするなり一躍脚光を浴び、高い人気と評価を獲得した…というプロファイルがネットにあったが、それでほぼ言い当てている。このアルバムではダイアナ・クラールのヴォーカルとピアノ、バックにはクリスチャン・マクブライトのベースとラッセル・マローンのギターを従えたトリオ編成で、お馴染みのスタンダードを聴かせてくれる。この編成は彼女が敬愛するナットキングコールのトリオを同じもので、以前の記事にも書いた通りこの編成でナットキングコール・トリビュートのアルバムも出している。録音の良さもあってか、一時期オーディオのデモストレーションによく使われていたのを思い出す。

ドラムレス編成のため、クリスチャン・マクブライトの繰り出すベースラインが曲の運びをコントロールする場面が多い。第1曲「All or Nothing at All」からしてベースのイントロダクションでスタートする。和声感の希薄なやや不安げなベースラインにのってダイアナ・クラールが歌い出し、やがてピアノの短いリフが絡みながら、曲のサビになって一気に調性が確立。暗いトンネルから抜け出たときのような開放感が広がる。一聴は百聞にしかずで、こうしたいささかややこしい説明しか出来ず歯がゆい限りだ。また他のチューンでも彼女の歌とピアノと共にラッセル・マローンのギターが存分の楽しめるのも嬉しい。

ダイアナ・クラールの声はやや太めのアルトだが、ハスキーという程ではない。妙に媚びたりチャーミングな表現をみせたりすることはなく、どちらかといえば淡々と歌っていて少々表情に乏しいとさえ感じる。ビジュアルに反して男性的な歌いっぷりと言えるだろうか。それでも歌の間に弾く彼女のピアノはいい感じだし、歌の決めどころでは力の入った表情も見せる。ラッセル・マローンのギターもリラックスした弾きぶりで飽きずに楽しめる。ベストセラーになるのもうなづけるアルバムだ。


このアルバムの第1曲「All or Nothing at All」。モノトーンなイントロから始まり、次第に色彩と活気を帯びていく。


「I Don't Know Enough About You」


トニー・ベネット(1926-)とのデュオアルバムプロモーション音源。このアルバムを完成させたときトニー・ベネットはすでに90歳を超えていたのでは…



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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