桜姫東文章
昨年2021年4月と6月に上下巻に分けて公演があり大変な人気となった歌舞伎「桜姫東文章」。この度、松竹のシネマ歌舞伎に登場ということで先日、都内での仕事を昼で切り上げ、東銀座・東劇で上の巻を楽しんで来た。


昨年の片岡仁左衛門と坂東玉三郎による「桜姫東文章」の公演は何と36年ぶり。当時は孝夫・玉三郎の「孝・玉コンビ」全盛期。様子のいい若き二人の演じる「桜姫東文章」はそのときも大いに話題になったそうだ。その二人が共に古希を越える年齢になっての再演も、当代きっての美男美女ぶりは変わらず、むしろ年齢を重ねたことによる深みを加わり絶賛の嵐だった。ぼくは昨年の公演はあいにく観られず悔しい思いをしたのだが、思いのほか早くシネマ歌舞伎に登場。公開を楽しみにしていた。シネマ歌舞伎は一昨年、コロナ禍に入る直前にやはり玉三郎の「鷺娘」以来。実際の舞台は昨年2月の歌舞伎座以来、ご無沙汰している。
鶴屋南北作「桜姫東文章」のあらすじ、見どころは各所で語られている(例えばこちら)。その多くは「禁断の愛と欲、輪廻転生の数奇な運命…」そんな言葉にあふれる。この物語に現代風のタイトルを付けるとしたら「愛とエロスの織り成す衝撃の問題作」といった具合になるだろう。江戸時代にも現代と変わらぬ多様な世俗があったことが分かる。
それにしても仁左衛門・玉三郎の美しさと色香は如何ばかりか。悪党の極みのような釣鐘権助と再会し、自ら帯を解いて誘う桜姫。スクリーンに映し出された桜姫演じる玉三郎から放たれる色香に、劇場内の周囲にいた女性客からはかすかな溜息が聞こえてくる。リアルな舞台はもちろんかけがいのないものだが、要所要所のアップ、細かな所作や表情まで見られるスクリーン作品はまた別の価値がある。
鶴屋南北独自の「ない交ぜ」のストーリー展開は少々事前の予備知識があった方がいいかもしれない。あるいはスマホ・アプリで提供されるイヤホンガイドも、この作品では利用価値が高い。上の巻が終わり、下の巻は28日から上映開始とのこと。上映劇場も全国津々浦々、当地のような田舎でも楽しめる。上の巻の興奮冷めやらぬうちに、下の巻も観に行くことにしよう。
予告編
湯山玲子「桜姫東文章」を語る
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