セル&クリーヴランドの「オクスフォード」
久しぶりにハイドンを聴く。取り出したのはこの盤。

ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団によるハイドン交響曲集。手持ちの盤は2011年にリリースされた4枚組の輸入盤セット。ステレオ録音の第92~98番(第97番は2種類)、それとモノラル録音された第88番、第104番が入っている。魅力的な2曲がモノラルというのが少々残念だが、セルのハイドン録音がまとまって安価に入手できたのはラッキーだった。全10曲からきょうは第92番ト長調「オクスフォード」をノートPCのドライブにセットした。1961年録音。
第1楽章は型通りアダージョの序奏で始まる。この序奏を聴くだけで、しみじみハイドンはいいなあと、いつも溜め息をもらしてしまう。弦楽群の綾なす美しい古典的な和声。長短の調性を交えつつ緊張と解決を繰り返しながら主部への期待を高めていく。セル&クリーヴランド管はじっくりとした歩調でこの序奏の美しさを存分に表現していて申し分ない。響きは透明を極め、一つ一つの音符の関係性を絶妙なアーティキュレーションで弾き分けていく。主部は速からず遅からずのテンポ設定がピタリと決まる。聴く前はもっと速めのテンポかと勝手に思っていたが、その予想よりはややゆっくりめ。フレーズも丁寧にしっかりと合せ、時折り聴こえてくるチャーミングな木管の響きもいいアクセントなっている。
第2楽章アダージョは弦楽群と木管群の会話が美しい。中間部、短調に転じた辺りも力ずくにならず全体の響きのバランスがキープされる。第3楽章のメヌエットは堂々たる構えながら、不要に大仰にならないところがいい。単調になりがちなメヌエットだが、全休符や木管、ホルンの巧みな活用など、ハイドンはいろいろと趣向を凝らしていて飽きさせない。終楽章は快活な、これまたいかにもハイドンという感じのプレスト。クリーヴランドのアンサンブルは中間部の対位法を駆使した緊張感のあるフレーズを一糸乱れず弾き進める。小気味いいことこの上ない。このハイドンはセル&クリーヴランドについて巷間言われるその特徴がことごとく当てはまるが、同時にちょっとしたフレーズや木管群の響きにさりげない愛らしさも感じる。リマスタリングで音もリフレッシュされ、バランス、広がり、低音の充実など音の状態もいい。古典中の古典ハイドンの模範的演奏として好適だ。
この盤の音源。「オクスフォード」全曲。
「見るYouTube」をクリックして、YouTubeアプリケーションへ飛んで見ると解説字幕が表示される。この動画を観ながら、さあエアーコンダクターでひと汗かこう!
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■

にほんブログ村
- 関連記事