エルガー 弦楽のためのセレナーデ
先回の記事で取り上げたエルガー。その続きというわけでもないが、音盤棚を眺めていて見つけたこの盤を取り出した。

イ・ムジチ合奏団が弦楽合奏のための近現代作品を取り上げた一枚。1985年録音。時代はCDへ移行の真っ最中。新譜アルバムのアナログ盤リリースが無くなり始めた頃だろうか。この盤も蘭フィリップスの輸入原盤に日本語の解説シートを付す形でリリースされている。収録曲は以下の通り。イタリアあり、アメリカあり、イギリスありのユニークな選曲だ。
レスピーギ :リュートのための古風な舞曲とアリア第3組曲
バーバー :弦楽のためのアダージョ(弦楽四重奏曲ロ短調op.11より)
ニーノ・ロータ:弦楽のための協奏曲
エルガー :弦楽セレナード ホ短調op.20
この盤にはバーバーとエルガーの弦楽合奏の名曲が入っているところが気に入っている。映画音楽で有名なニーノ・ロータの作品も珍しい。イ・ムジチにとってはお国物というところか。エルガーはパーセル以来途絶えて久しかったイギリス音楽における中興の祖をいわれる。ときに近現代的な和声感、ときに穏やかなロマンティシズム、それらが同居する作風。針を落とした弦楽セレナーデは、その穏やかなロマンティシズムの方を代表する作品だろう。
アレグロ・ヴィヴァーチェの指定ながら、どこか憂いを秘めた第1楽章、深い抒情に満ちた旋律が歌われる第2楽章、軽快なフレーズに揺れるうちに、第1楽章の主題に回帰する第3楽章。美しいイギリス音楽の見本のような曲だ。イ・ムジチの演奏は音響的な美しさに関しては文句なしの出来栄え。もっと渋めの演奏を聴きたくもなるが、これはこれで十分素晴らしい。
エルガー作品はこのセレナーデをはじめ、チェロ協奏曲、ヴァイオリン協奏曲、エニグマ変奏曲、序奏とアレグロ、2つの交響曲など、いずれも傑作揃い。「愛の挨拶」と「威風堂々」ばかりではエルガーも可哀相だ。メディア・演奏者共、もっと広く取り上げてほしい。
この盤の音源。エルガー:弦楽セレナーデ 第2楽章
同 第1楽章
全楽章 コロナ禍に誕生したデュラーレ・チェンバー・ストリングス・アンサンブルという団体。
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