ハイドン 交響曲第84番変ホ長調



お盆休みも終わって日常再開…といってもぼくの場合は今年もこの時期休みはなく、せっせと仕事。暑さが少し癒えたら休みを取ろうかと思っているが、そういえば昨年も一昨年も同じように考えていながら、結局仕事にアップアップしてまともに休めなかった。まあ、いいけど…。さて週末金曜日。少し前に聴いたハイドンの続きを聴くことにした。


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取り出した盤は数年前に手に入れたエルネスト・アンセルメ(1883-1969)による一連のボックスセット中のEuropean_Tradition。この中にハイドン作品を収めた3枚のディスクがある。少し長くなるが以下に記しておく。

Disc15
ハイドン:交響曲第82番ハ長調「熊」
ハイドン:交響曲第83番ト短調「雌鶏」
ハイドン:交響曲第84番変ホ長調
Disc16
ハイドン:交響曲第85番変ロ長調「王妃」
ハイドン:交響曲第86番ニ長調
ハイドン:交響曲第87番イ長調
Disc17
ハイドン:交響曲第22番変ホ長調「哲学者」
ハイドン:交響曲第90番ハ長調
ハイドン:トランペット協奏曲変ホ長調 Hob.VIIe-1
 パオロ・ロンジノッティ(トランペット)
フンメル:トランペット協奏曲変ホ長調
 ミシェル・クヴィット(トランペット)

いわゆるパリ・セットと称される第82番から87番の交響曲が並ぶ。後年のロンドン・セット(ザロモン・セット)に比べるとやや小ぶりながら、いずれもハイドンの熟練の技が光る曲ばかりだ。録音は1957~1968年。スイスロマンド管弦楽団の本拠地ジュネーヴ・ヴィクトリアホールでのセッション録音。きょうはこのうちDisk15をプレイヤーにセットし、ハイドンの交響曲第84番変ホ長調を選んでプレイボタンを押した。

アンセルメとその手兵スイスロマンド管弦楽団(OSR)と言えばもっぱらフランス・ロシア物の色彩豊かな演奏を思い出し、独墺系の曲のイメージは薄かった。あるときアンセルメ&OSRのブラームスを聴いたとき、そうしたかつてのイメージはまったく作られたものだと合点した。重厚長大にして激渋のブラームス…ではないが、堂々として推進力に満ちた演奏は立派のひと言だった。アンセルメの独墺系侮りがたし…そんな気持ちになって、このボックスセットも手に入れた経緯がある。

ハイドンの交響曲第84番はパリセットの他の曲のように副題もなく演奏頻度も少ないようだが、全4楽章貫禄十分の構成で他の曲に勝るとも劣らない。第1楽章は穏やかな序奏で始まる。低弦群が中々雄弁な響きを聴かせる。主部はチャーミングで軽やかに始まり、各声部が掛け合いながら進む。時折り転じる短調フレーズが印象的だ。展開部と再現部も推進力は衰えない。第2楽章はゆったりとした4分の3拍子を取る変奏曲。短調に転じた変奏では深い感情表現が聴かれる。第3楽章は型通りのメヌエット。堂々とし過ぎず、この曲全体に通じるチャーミングな曲想だ。終楽章はソナタ形式を取り、ハイドンの技巧が冴える。目まぐるしい転調を繰り返しながら常に推進力を維持し活力にあふれて素晴らしい効果を上げている。

アンセルメ&OSRの陽性の演奏とそれを捉えた英デッカの明解な録音はこの第84番の曲想にぴったりだ。ピリオドスタイル普及以前のそして伝統的な独墺系路線とも異なる、大らかで伸びやかなハイドンで捨てがたい。


この盤の音源。全4楽章


パーヴォ・ヤルヴィ&パリ管弦楽団による演奏。



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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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