カール・リヒター 1979年東京ライヴ バッハ;オルガン曲選集


台風は日本の東側に居座る強力な太平洋高気圧に行くてを阻まれ進路を一旦西に。その後ゆっくり北進し、まもなく室戸岬周辺に上陸の構えだ。関東、取り分け埼玉県北部から群馬南部は昨日に続き、ときおり強い風雨に見舞われる一日だった。
さて、今週も何とか終わり週末金曜日の夜。何となくすっきりしない天気と気分を吹き飛ばそうと、今夜は少し気合を入れてオーディオを鳴らすことにした。選んだ盤は、カール・リヒターが弾くバッハノオルガン曲集だ。一昨日聴いたグールドのオルガンに触発された恰好だ。収録曲は以下の通り。
①幻想曲BWV572 ②前奏曲とフーガBWV548 ③コラール「おお愛する魂よ」BWV654 ④前奏曲BWV544 ⑤コラール「汝イエス、天より降りたもうや」BWV650 ⑥トッカータとフーガBWV540 ⑦トッカータ、アダージョとフーガBWV564


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カール・リヒターはミュンヘン・バッハ管弦楽団の指揮者として50年代後半から膨大なバッハ録音を残した。しかしもともと彼は、バッハ自身も楽長を務めたライプツィッヒの聖トーマス教会のオルガニストとして音楽のキャリアをスタートしている。この録音は彼が晩年に来日した際に、東京カテドラル聖マリア大聖堂でライヴ録音された。バッハの曲が本来作曲されたシチュエーションに近い状態で再現された演奏とも言える。
このブログに載せる写真を撮りながら、アンプが温まるの待つ。二十分ほどしたところでCDをトレイにセットした。ボリュームノブを時計の針で10時過ぎ頃まで回す。最初のトラックの幻想曲ト長調BWV572が始まる。冒頭1分半ほど即興的な音形のパッセージがあり、一瞬の休符をおいたあと、ペダル音の重低音を伴ったオルガンの総奏が愛器;三菱2S-305から流れ、部屋の空気を揺るがすように響き渡る。バッハのオルガン曲の醍醐味、オーディオ的快感、双方入り混じり、しばし響きに身を任せる。

ライナーノーツにも書かれていたのだが、この演奏は一般のコンサートホールでの演奏とは少々趣きを異にしている。教会で奏でられる音楽、残響豊かなドームに響く音響そのもののが持つ価値…そんな側面を強く感じる演奏だ。純音楽的にとらえれば、各声部の描き分け、曲想の移ろいといった部分に注力するだろう。しかしこの東京カテドラル聖マリア大聖堂でのライヴは、教会の日常的行為としてのオルガン演奏として、即興的かつ教会内に響き渡る音響芸術とでもいうべき雰囲気を重視してるように感じる。リヒターは幾多の名演をレコードに残し、単身来日してチェンバロとオルガンの演奏会を開いたこの1979の来日から2年たった1981年2月に逝去。まだ55歳の若さだった。

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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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