藤原真理(Vc)



月があらたまって令和四年長月九月。このところ公私共にそこそこ忙しい。秋到来を実感するのはもう少し先だろうが、呑気に構えていると、あっという間に年の瀬を迎えそうだ。何だかすべてが呆気なく早い。 さて、週末金曜日。先日来、音盤タイムはチェロが続いているが、今夜もその流れでこんな盤を取り出した。


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藤原真理(1949-)のデヴュー盤LP。チャイコフスキーコンクールで第2位となった1978年に発売された。収録曲は以下の通り。

1.白鳥(サン=サーンス)
2.夢のあとに 作品7の1(フォーレ/カザルス編)
3.フォーレの名による子守歌(ラヴェル)
4.コル・ニドライ(ブルッフ/ローズ編)
5.鳥の歌(カタルーニャ民謡/カザルス編)
6.シシリエンヌ 作品78(フォーレ)
7.ナナとホタ~<スペイン民謡組曲>より
8.エレジー作品24(フォーレ)
9.主よ、哀れみたまえ~<マタイ受難曲>BWV244(J.S.バッハ/川口義春編)より

藤原真理がチャイコフスキーコンクールで2位に入賞したのが1978年7月。数えると彼女が29歳のときだ。今の感覚で言えば少々遅咲きといえるかもしれない。確か本番のロココ・バリエーションで変奏曲の順番を間違えたために2位になったと聞いたことがある。DENON_PCMのロゴも懐かしいこの盤はその3ヵ月後の録音だ。サン・サーンスの「白鳥」に始まり、フォーレ「夢のあとに」「シチリアーノ」「エレジー」、ブルッフ「コル・ニドライ」など、チェロの定番曲が収めされている。

この盤で聴く彼女のチェロはどの曲も自然な表現と美しい音、正確な楽器コントロールと、申し分ない。フォーレ「エレジー」などは淡々とさりげなく弾き始め、徐々にたかぶっていく様にも不自然なところがなく、聴いているこちらの気分高揚とぴたりと同期している感じだ。惜しむらくは岡本美智子のピアノ伴奏があまりに控えめに過ぎ、室内楽としての感興に乏しい。もう少し積極的な伴奏であってもよかったろうと思う。録音は当時日本コロンビアの独壇場であったデジタル録音(PCM録音)の良さが出ていて、SN比がよく、チェロの音も適度な距離感で録られていて、文句なしの優秀録音だ。


この盤の音源。フォーレ「夢のあとに」


同 フォーレ「シシリエンヌ」


懐かしい<午後のリサイタル> この盤と同じ岡本美智子の伴奏によるショスタコーヴィチのソナタ。 ショスタコのあと25分過ぎからヴァレンティーニのチェロソナタ第1楽章抜粋が続く。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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