ベートーヴェン「ディアベリ変奏曲」
週半ばの水曜日。きょうは仕事のあと野暮用あって少々遅い帰還。ひと息ついて音盤を取り出す元気もなく、先日聴いたこの盤の備忘を記しておこう。

ベートーヴェンのディアベリ変奏曲。正確には「ディアベリのワルツによる33の変奏曲ハ長調作品120」。60年代半ばのデビューアルバムの一つにこの曲を選んでいたバレンボイム(1942-)による1981年再録盤。
今更、素人のぼくなどが講釈するまでもないが、この曲はバッハのゴルドベルクに比肩される大曲だ。実際この盤でも演奏時間は1時間を越える。作品番号からも分かる通りベートーヴェン晩年の曲。同時期には第九交響曲の作曲も進行していた。
アントン・ディアベリ( 1781-1858)はぼくらギター弾きにはいくらか馴染みがある。この曲の成立には当時のウィーンで、作曲家としてよりもむしろ出版事業主としての名声を得ていたディアベリの暗躍もあるとのことだが、それはともかく、平々凡々としかいいようのないワルツを使いながら、すっかりベートーヴェン色に染め、充実かつ新規性に満ちた和声と構成を成し遂げているところは、やはりベートーヴェンの第一級の仕事だろう。各変奏曲がそれまでの時代によくあったような技巧的バリエーションにとどまらず、まったく新しい情緒の表出になっている。特に後半、第24変奏の小フーガを経て終盤となり、ハ短調となって瞑想的に進む第29変奏、変ホ長調32変奏の重厚なフーガ、そして再びハ長調に戻って終曲を迎える頃には、この曲が小さな変奏曲の集まりだということを忘れそうになるほどの充実ぶりだ。
楽譜付き全曲。46分からラルゴ・モルト・エスプレシーヴォの美しい第31変奏。そして32変奏のフーガ(51分43秒から)へと続く。
バレンボイムによる2020年秋コロナ禍期間の録音。ベートーヴェンのピアノソナタ全曲(バレンボイムのとって5回目!)と併せて録音されたようだ。
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