木住野佳子「fairy tale」



今週前半、関東地方は冷たい雨に見舞われ、当県上越国境の山々も冠雪。平野部も冷え込んだ。辺りの樹々も色付き始め、秋本番だ。久しぶりに快晴だったきょう週半ばの水曜日。手を焼いていた案件が一つ片付き、束の間の休心。ネクタイ、もといベルトを緩めて、さて今夜はジャズだ。


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木住野佳子(P)の実質的なデヴューソロアルバム。1995年NY録音。収録曲は以下の通り。

1.ビューティフル・ラヴ
2.フェアリー・テイル
3.ジ・アイランド
4.いつか王子様が
5.ファンカレロ
6.星影のステラ
7.オンリー・トラスト・ユア・ハート
8.誓い
9.ラフィット'82
10.ゴーン
11.ウィズ・ア・リトル・ソング

お馴染みを通り越し、またかの声も聞こえてきそうな選曲。しかしジャズに限っていえば素材の曲は決定的な要素ではなく、料理の仕方こそが命。名演あって名曲なしと言われるほど。それほどプレイヤー次第で曲は生まれ変わる。この盤に聴くスタンダードの数々は、決して意表を付くような変身を遂げているわけではないが、「ピアノにもルージュを」というアルバムコンセプトのもと、見事に統一された心地よさに満ちている。そういわれてあらためてアルバムを手に取ってみると、ジャケット写真はモノクロームを背景に「fairy tale」の文字だけが赤く染め抜かれている。

彼女は桐朋学園で正統派のクラシックを修める以前からあちこちのロックやフュージョンのバンドに出入りしてはセッションを重ねていたという。天性の耳と勘の良さでデビュー前から知る人ぞ知る存在であったようだ。そんな才気あふれる彼女がNYの腕利きジャズメンをバックにくつろいだプレイを聴かせてくれる。特にエディ・ゴメスとマーク・ジョンソンのベースが雄弁で、抜群の録音と相まって、良質のヘッドフォンで聴くと50Hzを下回る深く静かに伸びるベースの基音が楽しめる。スムースジャズというほどユルみ切っているところはなく、適度に緊張が高まるプレイもあって飽きることがない。久しく新譜を聴いていないが、最近の彼女はどんな風なのかしらん。


このアルバムの第1曲「ビューティフル・ラヴ」


同 「アイランド」


同 「フェアリー・テイル」


彼女のオリジナル曲「Nostalgia」 39秒ほどのイントロののち、都会的でジャジーなスローボッサが続く。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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