バーンスタイン&VPO ブラームス交響曲第3番ヘ長調



深まりゆく秋。朝晩も冷え込むようになった。晩秋の色濃いこの時期に聴くとなれば、やはりこの曲だろう。


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ブラームスの交響曲第3番ヘ長調。レナード・バーンスタイン指揮ウィーンフィルハーモニーによる演奏。1981年ムジークフェラインでのライヴ録音。

ぼくがクラシックを意識して聴き始めた70年代初頭、バーンスタインといえばアメリカの指揮者でありアメリカの象徴のような存在でもあった。そのバーンスタインが70年代の終わりからヨーロッパの伝統を背負って立つウィーンフィルと集中的に録音を始めた。ベートーヴェン、ブラームス、シューマン…。両者の相性がこれほど良いとは、一連の録音を聴くまで予想しなかった。ウィーンフィルの艶やかな音色と豊かなカンタービレが、バーンスタインのやや粘着質の歌い口によっていっそう際立った。このブラームスのLP盤全集は発売早々に4枚組9千円で購入。学生時代からもっぱら廉価盤ばかりで、社会人になってもその貧乏気質が抜けなかった当時のぼくには珍しいことだった。

演奏はいずれも素晴らしい。当時すでに聴いていたカラヤン&VPOやケンペ&MPO、その後のヴァントやチェリビダッケ、スウィトナー等、手元にある十数種の盤に中でももっとも気に入っている演奏の一つだ。4曲あるブラームスの交響曲だが、バーンスタインはそれぞれの性格をはっきりと意識して振り分けている。今夜聴いている第3番は、ひと口にいえば秘めたるロマンティシズムといったところか。決して歩みを速めずにじっくりと弾き込む第1楽章。室内楽的な静けさの第2楽章。いつ聴いても万感胸に迫る第3楽章。雄渾な第4楽章。バーンスタインのロマンティシズムにウィーンフィルが全力で応えていく名演だ。


地味といわれる第3番だが、聴きどころはいくつもある。第1楽章の終盤14分00秒からの1分間。14分20秒あたりはフルトヴェングラーなら猛烈なアチェルランドをかけるところだ。第2楽章のやはり終盤24分2秒から24分45秒まで。第3楽章(27分から)は終始歌にあふれる。第4楽章はブラームス独特の三連符のメロディが続く35分50秒からがいい(39分33秒からも)。そしてコーダ(42分過ぎから)は夕映えの美しさだ。


ブロムシュテットとベルリンフィル 第4楽章の一部。2021年6月ブロムシュテット94歳を目前にした頃。


ブロムシュテットをコンセルトヘボウによる演奏が以下にある。
https://youtu.be/jZIHMTUsypk



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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