ハイドン「リュートと弦楽のための室内楽集」



冬型ながら穏やかな日曜日。朝から野暮用外出。三時過ぎに帰宅した。早い日の入り前のひととき、久しぶりにこんな盤を取り出した。


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ドイツ生まれのリュート奏者ミヒャエル・シェーファー(1937-1978)による一枚。ハイドンの作品をベースにした「リュートと弦楽のための四重奏」他が収められている盤だ。80年代初頭にミドルプライスで出た際に買い求めた。収録曲のいずれも弦楽四重奏などの原曲を元にアレンジされたものではあるのだが、ハイドン自身の編曲ではない。またそもそも原曲がハイドン自身の作でないものもあるようだ。

ハイドンが活躍していた18世紀半ば、リュートは音楽史の表舞台からは姿を消していた時期だ。ハイドン自身がリュートに興味をもっていたとする資料もあるようだが、実際に残された作品があるわけではない。この盤収録の曲も当時のリュート愛好家が編み、古くから流布していた楽譜をベースのようだ。20世紀初頭には例のH.Dブルーガーやカール・シャイトによる版が出た経緯がある。いずれの曲も明るく屈託のない曲想で、穏やかな休日に聴くのに相応しい佳曲が並ぶ。

ミヒャエル・シェーファーは優れたドイツのリュート奏者だったが、残念なことに1978年41歳の若さで亡くなった。確か日本人の奥様がいたはずだ。このハイドンの四重奏の他、手元にはわずかながら彼の盤がある。いずれもリュートの持つ軽やかで典雅な、そしてときに内省的な響きをたたえた演奏だ。

以前所有していた10コースリュート

社会人になってしばらくたった80年代初頭、国内で初めて発売された廉価なステューデントタイプの10コースリュートを手にしたことがあったが、結局ろくろく弾かずに手放した。楽器、楽譜、弦など、当時は情報がまだまだ少なかったことも疎遠になった一因だったかもしれない。その後、歴史的研究成果や熱心なファンの存在、そして古楽全般の隆盛もあって、今では当時とは比べものにならないくらい環境が整ってきた感がある。とはいえ、もはやリュートをあらためて手に取ることはないだろう。


この盤の音源。ニ長調のカルテットHob.III:8


ギターによるカルテット編成での演奏。カール・シャイト版だそうだ。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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