マタチッチ&チェコフィル チャイコフスキー交響曲第5番ヘ短調



年明け。さて何を聴こうかと音盤棚を見回す。未聴の盤も随分あるなあと思いながらも、ここ何年か取り出す盤を絞られてきた。いずれサンデー毎日状態になったらボチボチ聴こうを思っているが、どうなるのかと、しばし沈黙…。 我に返って気を取り直し、令和五年にちなんでナンバー5で行こうかと、こんな盤を取り出した。


202301_PT5_Matacic.jpg


ロヴロ・フォン・マタチッチ( 1899-1985)とチェコフィルハーモニー管弦楽団による1960年の録音。70年代には廉価盤で出ていたマタチッチとチェコフィルの演奏やその後のNHK響との演奏他いくつかの盤が以前、日本コロンビアから復刻された。手元に十年程前に手に入れた盤がいくつかあるが、きょう取り出したチャイコフスキーの5番もその中の一枚。

第1楽章の序奏は物々しく始めることが多いが、この盤では思いのほかあっさりと進む。過度な表情付けはないが、よく聴くとフレーズの緊張・解決に沿ってわずかに音の重みに変化を付けている。主部に入ってからも速めのテンポでもたれず進む。主題の切り替わりで僅かにテンポを揺らしたり、展開部ではせき込むようなアチェルランドを過度にならない範囲で効かせ、効果を上げている。チェコフィルの弦楽器群の音は潤いに満ちていて、フォルテッシモでも余裕を持った柔らかな響きをキープしていて美しい。管楽器群も鋭く響くようなところはなく弦楽群とよく調和している。

第2楽章のホルンのソロや、ときどき金管群やホルンが聴かせるヴィブラートがこの時期のロシア・東欧系オケの特色を感じさせる。料理の仕方次第で様々に変化するチャイコフスキーだが、この演奏は過度な演出を避けながらもスラヴ的感興にも不足のない、そして往時のチェコフィルの音を堪能出来る素晴らしいアルバムだ。


この盤の音源。全4楽章


1975年にN響を振って演奏した同じチャイコフスキー第5番の音源があったので貼っておこう。チェコフィルとの録音から15年を経てテンポはわずかに遅めになっているが、もたれるような感じはまったくなく、推進力に富む。40年前の録音だが、すでにアナログ録音の完成期。やや残響に乏しいNHKホールながら、コントラバスの最低音までしっかりとらえられている。


第4楽章の中間部聴き比べ。9名の指揮者が登場する。


#0:00 ヘルベルト・フォン・カラヤン / ベルリンフィル
#2:55 ズデニェク・マーツァル / チェコフィル
#5:37 リッカルド・シャイー / ウィーンフィル
#8:12 リッカルド・ムーティ / フィラデルフィア管
#10:45 チェリビダッケ / メルボルンフィル
#13:55 アバド / シカゴ響
#16:35 デュトワ / モントリオール響
#19:12 スヴェトラーノフ / ロシア響
#21:33 ムラヴィンスキー / レニングラードフィルハーモニー管弦楽団


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