テンシュテット&LPOのマーラー第五@1984大阪



三連休最後の月曜日。日中これといった用事もなく、アンプの灯を入れ五番しばりの音盤選び。冬の陽射しが差し込む道楽部屋で久しぶりにフルボリュームで聴こうと、この盤を取り出した。


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クラウス・テンシュテット(1926-1998)がロンドンフィルと1984年に来日した際の大阪でのコンサートライヴ盤。この盤には1984年4月13日大阪フェスティバルホールでの演奏曲目、モーツァルト交響曲第35番ニ長調「ハフナー」とマーラー交響曲第5番嬰ハ短調の2曲がそのまま2枚のディスクに収められている。


冒頭のトランペットは音量・抑揚ともやや押さえた表現で始まる。そしてその後に続く異様ともいえるスローテンポの葬送マーチ。大声を張り上げることなく、しかし極度の緊張感が音楽を支配する。室内楽的に精緻なアンサンブルと各声部を丁寧に扱いながら、しかし緊張感ゆえの秘めたスケールが伝わってくる。第4楽章アダージェットも過度の感情移入は少なく、やや抑えた表情と弱音のコントロールが美しい。マーラーというととかくスケール感にばかりフォーカスされるが、少なくても第5交響曲については純器楽構成の伝統的な管弦楽として、丁寧に曲を運ぶことが大事だと気付かされる。

1984年はテンシュテットがロンドンフィルの音楽監督に就いた翌年にあたる。まだ病魔が表面化する前の来日記録でもある。手元にはスタジオセッションの彼のマーラー全集もあるが、それとは一線を画す緊張MAXの名演だ。


この盤の音源。


同じコンビによる同曲第2楽章冒頭。1988年ライヴ@ロンドンフェスティバルホール。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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