シベリウス交響曲第5番変ホ長調
懲りもせず、引き続き「5」しばりの音盤探索。きょう取り出しのはこの盤だ。


シベリウスの交響曲第5番変ホ長調。ブラームスやチャイコフスキーに加え、シベリウスも得意にしていたクルト・ザンデルリンク(1912-2011)が旧東独のベルリン交響楽団(現ベルリン・コンツェルトハウス管弦楽団)を振った全集セット中の一枚。このセットには7つの交響曲の他、主要な交響詩が5曲収録されている。1976年ベルリンイエスキリスト教会での録音。十年程前、ブリリアントの激安ボックスセットで出た際に買い求めた。
ぼく自身は熱心なシベリウスフアンというわけではなく、聴きかじった曲といえば、いくつかの交響曲と管弦楽曲、有名なヴァイオリン協奏曲、それとピアノの小品程度だろうか。このセットも入手直後に何枚か聴いたが、その後はほとんど手付かずのままだった。今夜久しぶりの第5番を取り出した。第5番はもっともポピュラーな第2番に次いで演奏機会も多く、人気の曲だろう。
第1楽章冒頭から聴く者を引き付ける魅力的な響きで始まる。ホルンがまさに北欧の澄んだ空と深い森をイメージするように静かに響き、程なく、そのゆったりとした空気の中に、やや鋭い響きの木管群が呼応する。この冒頭の魅力的なフレーズだけでも、この曲を聴く価値があると言っても言い過ぎではない。大自然の息吹き、大地の力強さ、森の静けさとざわめき…そうしたものが渾然一体となってシンフォニックに響き渡る。まことにスケールの大きな楽章だ。 歌謡性に富んだ主題とその変奏で綴られる素朴で美しい第2楽章をはさんで、萌えいずるようなエネルギーを感じる第3楽章の充実した響き。冒頭少ししたあたりで出るゆったりとした主題、そしてエンディング数分間の大団円は第2番のクライマックスに勝るとも劣らない。
ザンデルリンクはロマンティックな解釈をベースに極めてシンフォニックでスケール大きな演奏を展開する。録音も優秀だ。ぼくらが北欧フィンランドの作曲家シベリウスを聴いてイメージする響きそのもののような曲。同時に、自然の目覚め、かすかな春の訪れをも感じる曲でもあって、今の時期に聴くのに相応しい名曲だ。
この盤の音源。全4楽章
ユッカ・ペッカ・サロネン指揮ラハティ交響楽団による第5番全曲。ラハティはフィンランド南部の古い都市。指揮者のユッカ・ペッカ・サロネンの故郷でもある。2000年に完成した同市内のシベリウスホールでのライヴ。34分40秒過ぎからアンコールとして「鶴のいる情景」(Scene with Cranes)が演奏される。
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