クリスティーヌ・ワレフスカ 奇跡の2010年来日ライヴ
今夜は先週末に買ったCDの中からクリスティーヌ・ワレフスカのアルバムを取り出した。
クリスティーヌ・ワレフスカ。70年代前半に名前だけ聞いた記憶はある。しかし当時まだ学生で、クラシックは聴き始めていたものの、ろくにレコードなど買えない時期。その女性チェリストの演奏やその後の活躍については、まったく知ることもなく過ぎた。それはぼくだけなく、日本の多くの音楽ファンも同様だった。そのワレフスカが様々の経緯があって昨年2010年に35年ぶりに来日した。この盤は、その奇跡ともいわれた来日公演のうち、2010年6月5日上野学園石橋メモリアルホールでのリサイタルを収めたCDだ。


実はこのCDに収録された2010年6月5日の演奏会はNHKFMで中継され、ぼくはたまたま会社帰りの車中でそれを聴いていた。クリスティーヌ・ワレフスカについて簡単な紹介があったあと、バッハのアリオーソが始まった。そのときのことはよく覚えていた。車中で聴くFM放送。決して上等とはいえない車のオーディオセットから流れる音楽ではあったが、バッハでの呼吸の深さ、構えの大きさが実に印象的だった。このCDを聴き、1年前の記憶が蘇ってきた。大きなフレージング、伸びやかな音。素晴らしいチェロの響きだ。
バッハのあと、ブラームスのソナタ1番が続く。出だしの低弦から繰り出される深く重い主題、そしてそれに続く高音域での応答。ブラームスらしい重厚さと若い時期の作品ゆえの燃え立つような曲想が交錯する。ワレフスカのチェロはまったく過不足なく曲を進める。取り分け低音弦での深いボーイングが印象的だ。この日の演奏会後半には、ボロニーニの「チェロの祈り」、ピアソラの「アディオス・ノニーノ」といった、現在彼女がホームとして活躍しているアルゼンチンの作曲家の作品が続く。いずれもチェロの雄弁な音色にラテンの秘めた熱情を込めた素晴らしい演奏だ。そして最後はショパンの「序奏と華麗なるポロネーズ」「チェロソナタ」で締めくくられる。またこの盤では、伴奏をつとめる福原彰美のピアノがまた素晴らしい。バッハのアリオーソなど、アダージョのテンポとワレフスカの大きなフレージングにも、ピタリと縦の線を合わせている。ブラームスやショパンのソナタでもときに雄弁にピアノを歌わせている。
彼女の来日がなぜ奇跡なのか、なぜこれほどの奏者がメジャーな世界から離れているたのか、そうしたことの背景・顛末についていは、2010年来日に際して作られたサイト、あるいはこのCDの解説を書いている竹内貴久雄氏のサイトを参照されたい。
来日公演での最後を飾ったショパンのチェロソナタを弾いている動画があったので、第3楽章アダージョの部分を貼っておく。う~ん、残念ながらピアノがいささか凡庸か。
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