ロメロ親子 古典派ギター二重奏曲集



桜が満開になったあと、ここ数日はっきりしない天気が続いていたが、きょうや久々に晴れ間がのぞき、気温も上がった。お上りさん散歩ネタは本日休業。今夜はこんな盤を取り出して音盤タイムとなった。


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取出したのはロメロ一家、オヤジさんのセレドニオ(1913-1996)と今や大御所の次男ペペ(1944-)による二重奏。1976年10月録音。収録曲は以下の通り。19世紀中庸のギター古典期のオーソドクスな曲が三曲収められている。

 1. セレナード イ長調 作品96-1(カルリ)
 2. 協奏的変奏曲 作品130(ジュリアーニ)
 3. セレナード ヘ長調 作品63(ディアベリ)

この盤が出た70年代半ばといえば、すでにロメロ・ファミリーはペペやアンヘルのソロ活動も始まり、十分な人気を博していた頃だ。その時期に、こうした19世紀半ばヨーロッパでギターが広く定着しつつあった時代の、見方によってはやや地味とも思われる純古典曲を選んだこの親子にまず拍手を送りたい。ロメロ・ファミリーはスペイン物ばかりじゃない、ヨーロッパの古典もしっかり演奏できまっせという気概さえ感じる。

演奏もそうしたポリシーを反映するかのように実にオーソドクス。古典派二重奏のお手本のような演奏で好感が持てる。カルリのイ長調のセレナーデは、冒頭の序奏や第1楽章などは、アマチュアの手慰み程度だと、度々出てくる付点音符の処理に手を焼くのだが、さすがに完璧に合っていて格調高く、古典的な雰囲気十分だ。ジュリアーニの協奏変奏曲は70年代半ばの当時人気の高かったジュリアン・ブリームとジョン・ウィリアムスの演奏などと比べると、闊達さや自在には欠けるだろうが、ぼくはこのロメロ親子の生真面目なくらいきっちりした演奏を好む。ディアベリのセレナーデでもロメロ親子のアプローチは変らない。ディアベリ(1781-1858)という、当時のウィーンにあってギター専門家ではない一般職業作曲家として名声を博した人が書いた、ウィーン古典派の本流をいく<家庭音楽>の曲想はクラシックギター音楽の貴重な財産。もっと評価され、演奏されていいように思う。

この時代の曲は今であれば19世紀当時の楽器を使い、よりオーセンティックなスタイルで演奏するところだが、当時は今ほどのオリジナル志向はまだなかった。ここはモダンギター(使用楽器はジャケット写真でみると、父セレドニオがラミレス、次男ペペがバルベロ?ロドリゲス?)による70年当時のオーソドクスな解釈と演奏スタイルとして楽しむことにしよう。


この盤の音源。ジュリアーニの協奏的変奏曲作品130


ディアベリのセレナーデ作品63 ペペが1stのテルツパート(3カポで対応)を弾き、ブライアン・ヘイズというギタリストが2ndを弾いている。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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