アルゲリッチ「ショパン・リサイタル」



少し前から続けて聴いているアルゲリッチ。今夜はこの盤を取り出した。


202304_Argerich_1967.jpg


マルタ・アルゲリッチ(1942-)の「ショパン・リサイタル」という称する一枚。1967年録音。手持ちの盤の帯には「来日記念」と記されており、1970年1月の初来日を前に再発された盤だ。これも例によって20年近く前、大阪出張が続いていた時期に、梅田の中古レコード店で買い求めた。収録曲は以下の通り。

ピアノ・ソナタ 第3番ロ短調Op.58
ポロネーズ 第7番変イ長調Op.61「幻想ポロネーズ」
ポロネーズ 第6番変イ長調Op.53「英雄」
3つのマズルカ Op.59 第1~3番

1965年のショパンコンクールで優勝したあと、アルゲリッチはEMIにショパンプログラムのセッション録音を行なった。ところがこれが契約上の問題でお蔵入りとなり、2年後の1967年にほぼ同じプログラムでグラモフォンで録音しなおした。それがこの盤だ。EMI録音はその後三十年余経った1999年になってようやく陽の目を見ることになる。

久々に針を下したのだが、アルゲリッチの演奏に関して巷間言われるような「自由奔放な解釈、強靭なタッチ、情熱的な演奏」といった特徴はそれほど顕著ではないように感じる。どの曲もやや速めのテンポですっきりとした造形と粒立ちのいい美しい音。当時から世界のトップレベルであった彼女にしてみれば当たり前のことだが、音楽全体がよくコントロールされている。ソナタ第3番や英雄ポロネーズなど、昨今はもっと力づくで大汗をかくような演奏にもしばしば出くわすが、そうしたものとは別次元だ。これをもって、セッション録音はぬるい、アルゲリッチはライヴでこそ、といった評価は当たらないと感じる。LP盤のA面、B面、ゆっくりじっくり聴いて、ショパンを堪能できる名盤だを思う。



この盤の音源。ソナタ第3番の第1楽章


1965年6月にEMI入れた録音の全曲。1999年にようやくリリースされた。


徳岡氏がA(明るく)T(楽しく)M(マニアック)にアルゲリッチを語る。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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