ハインツ・ホリガー「イタリア・オーボエ協奏曲集」



きょうで四月も終わり。ほんの少し前に年が明けたと思っていたら、もう今年の三分の一が終わった。もう何が何だか分からない…嗚呼。さて週末日曜日。部屋の片付けをしながら、この盤をプレイヤーにセットした。


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ハインツ・ホリガー(1939-)のオーボエとイ・ムジチ合奏団によるイタリア・オーボエ協奏曲集。1986年録音。手持ちの盤は当時リリースと同時に買い求めたもの。収録曲は以下の通り。

マルチェルロ:オーボエ協奏曲ニ短調
サンマルティーニ:オーボエ協奏曲第1番ヘ長調
アルビノーニ:オーボエ協奏曲ト短調作品9-8
ロッティ:オーボエ・ダモーレ協奏曲イ長調
チマローザ:オーボエ協奏曲ハ長調

チマローザ以外はイタリアンバロック隆盛期の面々。とくにマルチェルロは映画「ベニスに死す」で使われたこともあって、70年代から80年代にかけて実によく耳にしたものだ。他の曲もいかにもイタリアらしいのびやかな旋律美にあふれている。中でも短調作品のマルチェルロとアルビノーニの憂いに満ちたメロディーは印象的で、バッハが憧れをもって自ら編曲したイタリア作品の典型ともいえる。

久しぶりに針を落としたのだが、当時すでに手馴れてきたデジタル録音と、アナログ盤最終期の高い技術レベルもあって、音質、SNともまったく文句のない録音状態。バックのイ・ムジチの音色が思いのほか渋く落ち着いていることも今回あらためて確認した。手馴れた曲ゆえに、もっとあっけらかんと明るい音を聴かせるのかと思っていたが、さすがはイ・ムジチ。中々懐が深い。

思えば、オーボエが一般愛好家の目にとまり、オリジナル作品のみならず様々な編曲物のアルバムまで発売されたのは、このハインツ・ホリガーにして最初ではないだろうか。当時フルートならランパル、ゴールウェイなど広く知られる存在だったし、トランペットならモーリス・アンドレがいた。そうした面々と片を並べてホリガーの人気は高かった。おかげでアルビノーニやマルチェルロのオーボエ協奏曲が市民権を得たともいえる。 予想外に渋めの音を奏でるイムジチをバックに、ハインツ・ホリガーのオーボエも過度な抑揚を排した吹きぶりで好感がもてる。オーボエそのものの魅力的な音色と、イタリアンバロックの旋律美に身を任せられるよいアルバムだ。


この盤の音源。マルチェルロ オーボエ協奏曲ニ短調 第1楽章


同 アルビノーニ オーボエ協奏曲ト短調作品9-8 第1楽章



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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