潮田益子のチャイコフスキー



きょう5月28日はヴァイオリニスト潮田益子の命日。ふと思い出して、この盤を取り出した。


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前橋汀子(1943-)と同世代で、小野アンナ~レニングラード音楽院~シゲティといったキャリアも共通する潮田益子(1942-2013)が弾くチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ニ長調。彼女がチャイコフスキーコンクールで第二位となった1966年の2年後、1968年に録音された。手持ちの盤は10年程前にコロンビア(DENON)からミドルプライスで発売されたコロンビア・ヴィンテージ・シリーズの1枚。バルトークの2番協奏曲とのカップリング。

1966年のチャイコフスキーコンクールではヴァイオリン部門で潮田益子が第二位、そして佐藤陽子が第三位、またチェロ部門は安田謙一郎が第三位に入った。当時は今ほどにはこうしたコンクールでの活躍が一般に報じられなかったのかもしれない。1966年といえばそろそろ学園紛争が社会問題なっていた時期だ。この盤が録音された1968年は東大入試が中止された年。1969年はアポロ月面着陸があり、三沢高校の太田幸司が夏の甲子園決勝で松山商の井上明投手と投げ合って18回で引き分け、翌日の再試合で敗れた。まあ、そんな時代だ。

潮田益子の音色は録音のせいかやや硬質な響きだ。しかしその音色が音楽を引き締め、格調高いものにしている。音楽の運びはまだ20代前半の若者らしいきびきびとしたもので、もってまわった歌いまわしやコブシもなく好感が持てる。技巧の切れは十分で不安なところはないし、第3楽章も快速に飛ばしている。森正指揮の日本フィルハーモニーもしっかりしたサポートだ。分裂して新日本フィルと日本フィルとに別れる前のいい時期だったのかもしれないが、日本のオーケストラ水準が格段に上がった現在からみても高水準といえる。録音も半世紀前とは思えないもので十分クリアに録られている。結果この演奏は、当時の日本を象徴するかのように真面目で厳しく、妙な甘さを配した格調高い演奏となった。現代ではこうした演奏はもてはやされないだろう。指揮者もオケももっとイケイケで派手に伴奏を付け、ソリストは甘く切々と、あるいは色気たっぷりの歌いまわしで媚びのかもしれない。

潮田益子はその後国内外に活動を広げ、近年はサイトウ・キネン・オーケストラや水戸室内管弦楽団などで活躍していたが、10年前2013年5月28日に亡くなった。71歳だった。


手持ちの盤からアップした。第1楽章



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