ケンペ&ミュンヘンフィル ブルックナー 交響曲第5番


それにしても急に涼しくなった。朝晩は肌寒い程だ。日中は日が出ると相応に気温は上がるが、湿度低く、不快感はない。残暑が長く続いた去年と違って、今年は暦通りの季節となるだろうか。
さて一週間の始まり月曜の晩。先週続けて、しかも久々にブルックナーを聴いた。大曲を聴き漁った学生時代に回帰、今夜もまた懲りずにブルックナーを聴こうか。取り出したのは演奏時間80分近くを要する交響曲第5番。名盤の誉れ高いルドルフ・ケンペ指揮のミュンヘンフィルハーモニーによる1975年の録音だ。


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この盤にちょっとした思い出がある。
学生時代を過ごした街にあったクラシック喫茶で行われたレコード会社主宰の、この盤の発表イベントに参加した際、くじ引きで1等が当たり、その景品が正にこのレコードだった。ケンペとミュンヘンフィルのコンビは当時、ベートーヴェンやブラームスの交響曲全集やブルックナーの第4交響曲などの録音を進めていて、一部のファンから強く支持されていた。その人気を決定付けたのが、このブルックナーの5番だった。

廉価盤しか縁のなかった当時、豪華な2枚組みレギュラープライスの新譜を引き当て、小躍りして下宿に戻った。しかし、このレコードをプレイヤーにのせて再生すると、なかなか音が出ない。第1楽章の出だし、低弦群によるピチカートの導入部があるのだが、その音が聴こえないのだ。最初は不良品ではないかと思った。当時のステレオセットが貧弱なこともあったろう。何せプレイヤーは安物。スピーカーはダイヤトーンのフルレンジをいい加減に自作した後面開放箱に入れ、アンプはこれまた有り合わせの部品で作った6BM8シングル。フォノイコライザーもトランジスタ何個かで自分でしつらえたものだった。ケンペはこの第1楽章の出だしを極めて遅いテンポと、これ以上のピアニシモはないのではないかと思われる程の音量で開始する。当時の装置でこれをきちんと再生するには相当な努力が必要だったろう。

この出だしの印象そのままに、全曲を通じて地に足の付いたと言ったらいいだろうか、実に落ち着いた足取りで曲は進む。派手な大見得を切らずにジワジワと曲を進めるケンペの指揮。ミュンヘンフィルの音色も渋い弦楽群をベースに、この曲では終始重要な役どころを担う金管群も腰高にならず、深く重い音色で応える。この曲のクライマックスは承知の通り第4楽章、それも終盤の二重フーガにある。ここへきてケンペとミュンヘンフィルの熱のこもった演奏が一気に展開する。終始遅めのテンポをほとんど動かさず、次第次第に曲を盛り上げていくには、気力も体力も必要だ。よくひ弱な日本のオケがこの曲を演奏すると、第4楽章後半で完全にスタミナ切れとなって金管群のフレーズが続かず、スカスカになってしまう。さずがに肉とワインで馬力を付けている彼らの演奏では、その心配は皆無だ。ケンペは彼らオケの推進力をよくコントロールし、この80分近い曲をまったく飽かさずに聴かせてくれる。ブルックナーの交響曲では、第4番『ロマンティック』がポピュラーだが、この5番を最高傑作に押す向きも多いだろう。その傑作の名演として、このケンペ&ミュンヘンフィル盤は最右翼の演奏だ。


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Re:

ケンペの5番、最高ですよね。
買ってきて家に着くまでのわくわくした感じ、
わかります!

Re: Re:

yonepon1962さん、こんばんは。
コメントありがとうございます。

> ケンペの5番、最高ですよね。
> 買ってきて家に着くまでのわくわくした感じ、

LP時代はモノも大きかったので、手に提げるもの充実感がありしたね。
給料日のあとの週末に、買い出しが楽しみでした。とっても、せいぜい
1、2枚選ぶのが精一杯でしたけどね。今はCDがあまりに安くなり過ぎ
ました。しかもボックスセットとやらで、更に煽られます(^^;


プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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