モレノ=トローバ 「セギディーリャへの賛歌」
例の「ランキングバナークリックよろしく!」の件はその後ほどなく失速。以前のペースに戻ってしまった。まあ、そういうものだと観念いたしましょう。 さて、きょうも全国トップクラスの暑さが続く当地。夜半前の少し遅い夕涼みにこんな盤を取り出した。

近代スペインの作曲家モレノ・トローバ(1891-1982)のギターと管弦楽のための作品「セギディーリャへの賛歌」。この盤のジャケットには老紳士とギターを抱えた若者が写っている。若者はアンヘル・ロメロ、そして老紳士は作曲者モレノ・トローバその人だ。この盤は1982年に91歳で亡くなったトローバが亡くなる前年1981年に自ら指揮棒をとって録音された。ギターのアンヘル・ロメロ(1956-)は有名なロメロファミリーの一番年若の末弟。兄のぺぺ・ロメロ(1944-)と共に今も活躍している。この盤には「セギディーリャへの賛歌」の他に、テデスコのギター協奏曲第1番が収録されている。こちらもトローバが指揮をしている。オーケストラは共にイギリス室内管弦楽団。
「セギディーリャへの賛歌」は3つの楽章からなる。第1楽章と第3楽章が取り分けスペイン情緒にあふれている。題名になっているセギディーリャのリズムとスパニッシュな和声に彩られ中々楽しい。第2楽章はトローバの得意とする抒情的な歌に満ちていて、ひんやりとした夜の空気が支配する。アンヘル・ロメロは録音当時30代前半。切れ味のある技巧で、特に1楽章、3楽章では随所に出てくるフラメンコ風のパッセージを華麗に弾きこなしている。トローバの指揮とイギリス室内管弦楽団のバックも安定していて、情熱的かつ抒情的な曲想をやや控え目に支えていて好ましい。トローバ得意のサルスエラの音楽で心得た、肩の凝らないスペイン風情の聴かせどころに溢れ、夏の夜に聴くにふさわしい佳曲だ。
この盤のLP音源。「セギディーリャへの賛歌」全3楽章。オケの導入部のあと2分5秒過ぎからギターが入ってくる。テデスコのギター協奏曲も続く。
兄ぺぺ・ロメロによる2015年の演奏。より洗練された仕上りで録音もいい。
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