マーラー交響曲第6番イ短調「悲劇的」



年初来続けている令和6年・「6」しばりの音盤タイム。きょうは重量級のこの盤を取り出した。


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ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団によるマーラーの交響曲第6番イ短調「悲劇的」。手持ちの盤は十年程前にセルの盤がまとまってリリースされたときのもの。第4番とのカップリングで、それぞれがCD1枚に収められている。第6番はセル唯一の録音で1967年10月にクリーヴランド管の本拠地セヴェランスホールで行われた演奏会のライヴ録音。ライナーノーツによるとこの曲が同年10月12、14、15日と3回演奏され、この演奏はおそらく12日か14日のものとのこと。クリーヴランド管にとってもそのときがこの曲の初演だったそうだ。

マーラーの第6交響曲は今でこそ録音はもちろん実演でもしばしば演奏されるが、60年代以前はマーラー直系のメンゲルベルクやワルター、クレンペラーなども録音を残していないほど演奏頻度は少なかった。そんな中、マーラー録音の少ないセルがこの曲を選んだのはどんな理由があったのだろうか。前述のようにクリーヴランド管としてまだ演奏していなかったということは大きい理由かもしれない。それと音楽として「悲劇的」のタイトル通りのストイックな雰囲気と堅固な構成感がセルの美意識にマッチしたのかもしれない。

第1楽章冒頭からやや遅めのテンポで始まる。聴きなれたセッション録音のセルとは響きがかなり異なり、分厚い低弦群と打楽器群の強打がこの曲の重々しい曲想を際立たせる。対照的に優しく穏やかなフレーズになるとクリーヴランド管の木管群がピタリと整ったピッチとアーティキュレーションで美しく歌い、聴いていて惚れ惚れするほどだ。第2楽章スケルツォも第1楽章の印象をそのまま引継ぎ、この二つの楽章をセットとする当時の通例に従っているようだ。
美しい第3楽章アンダンテも過度に歌い過ぎないところがセルらしい。多くのマーラー指揮者なら、アウフタクトを持つフレーズでタメを作ってやや引きずるように次の小節頭に入るだろうが、セルはそうしない。ごくわずかにルバートをかけるものの、それはほとんど自然の呼吸の域を出ず、フレーズはもたれずスムースに流れていく。

ライヴ録音の制約もあって録音の音質はセッション録音ほどの明瞭度は持たず、左右の広がりもやや乏しい。しかし全体としては低音域が厚く、この曲で活躍する打楽器軍の迫力も十分だ。終楽章は圧倒的なエネルギー感に満ち、次々と繰り出されて終わることのないマーラーの分厚いスコアの響きが続く。ライブだけあって、全編にみなぎるエネルギー感と緊張感が素晴らしい。セルに鍛えられたクリーヴランド管の響きもまったく弛緩することなく、熱くなる終楽章でもアンサンブルは極上だ。終楽章の最後、一旦静寂になったあとに奏されるイ短調主和音の強烈な一撃には、思わず声をあげてしまうほど驚いてしまった。

セルのマーラー録音はよく知られる4番、6番、10番の他、ライヴ盤の「大地のうた」や9番も
あるようだし、EMIとマーラー全集を作る計画もあったやに聞くが、せめて第5番をさらの残して欲しかったというのが正直な気持ちだ。


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この盤の音源。第1楽章



アバド&ルツェルン祝祭管による2006年のライヴ。ルツェルン祝祭管はザビーネ・マイヤー(CL)、ナターリヤ・グートマン(Vc)他豪華メンバー。第4楽章、例のハンマーの一撃は1時間5分50秒過ぎと1時間10分30秒過ぎ。中間楽章は2003年にマーラー協会が宣言した通り、第2楽章アンダンテ、第3楽章スケルツォの順で演奏されている。



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久々にマーラーの6番を聴きました

通勤がなくなり、したがって通勤時の音楽の時間もなくなりました。こうなると、日常の雑事にかまけて不思議に音盤タイムが減少します。雪の季節、運転は大変でしたが、通勤の音楽は貴重だったと思うこの頃。
ところで、マーラーの6番を久しぶりに聴きました。セルとクリーヴランド管によるライブ録音。やっぱりいいですね〜。この緊張感がたまりません。

Re: 久々にマーラーの6番を聴きました

narkejpさん> こんばんは。コメントありがとうございます。セルの持ち味に第6番は合っているように感じますね。素晴らしい演奏です。 私も同様、昨年春から時間に余裕が出来ましたが、そのまま音楽に割く時間が増えたかというと、そうはなりませんね。焦らずとも時間はいくらでもある…と錯覚してしまうからでしょうか。そうこうしているうちに健康寿命が尽きる…なんてことにならないよう気を付けようと思います。
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Author:マエストロ・与太
音楽とクラシックギターに目覚めて幾年月。道楽人生成れの果てのお粗末。

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