スウィトナーの「春」



年末からブログ更新頻度が上がったせいか、このところランキングサイトの順位も少し上がった。 更新ペースがいつまで続くか分からないが、引き続き記事下方にあるランキングバナーのクリックに御協力の程よろしくお願いいたします。コメントもお気軽にぜひ。
さて、先日聴いたサヴァリッシュのシューマン交響曲第1番「春」で思い出し、きょうはサヴァリッシュ同様、ぼくら世代にはお馴染みだったこの指揮者の「春」を取り出した。


202401_Suitner_Schumann.jpg


オトマール・スウィトナー(1922-2010)指揮シュターツカペレベルリン(SKB)によるシューマン第1交響曲変ロ長調「春」(1841年版)。Blu-SpecCD仕様で2012年にリリースされた日本コロンビア廉価盤シリーズ中の一枚。第3番とカップリングされ、2番と4番を収めたもう一枚と合せてシューマン交響曲全集を構成している。1986年6月ベルリンイエスキリスト教会での録音。

この演奏はまず、1841年自筆譜による録音として貴重な記録。スウィトナーがこの版にシューマンのオリジナリティを感じ、米ワシントン図書館所蔵の楽譜を使ってこの版による初めての録音を実現させたとライナーノーツに記されている。その後、現在では19841年版による演奏も時折みられるようになったが、その先駆といえる演奏だ。


202401_Schumann_1841.jpg


曲が始まると、この曲をよく知っている人にとっては随所にオッ!と思わせる違いが聴き取れる。まず冒頭のホルンとトランペットによるファンファーレがびっくりしたなあもぉ~で始まる。写真はこのCDのライナーノーツに記されて譜例だが、この盤では通常版よりも三度低い旋律が奏される(譜例1)。通常版(譜例2)は変ロ長調の三度音程(d)が出て、調性が明確に提示されるのだが、この盤の1841年自筆譜版では調性確定に重要な三度の音が出てこない。変更した理由は譜例1に出てくる3小節目のg-aが、当時の楽器では出しにくかったとからということのようだ。以降も木管と弦の重なり、ヴァイオリン旋律のオクターヴ処理など、あちこちで日頃聴きなれた演奏との違いに気付く。全体としては通常版がより輝かしくメリハリのある響きを構成しているのに対し、この自筆譜版は落ち着いた響きが特徴だ。

スウィトナーとSKBの演奏は、このコンビによる一連のベートーヴェン、シューベルトなどと同様、弦楽群の響きを中心に木管群を含めたブレンドされたオーケストラサウンドの醍醐味が楽しめる。低弦群の支えも量感、質感とも万全で、方寸のわが道楽部屋にSKDと並ぶ当時の東独トップオケSKBの素晴らしい音が広がる。日本コロンビア技術陣の成果であるデジタル(PCM)録音も当時としては特筆物。全体と細部のバランスを勘案しつつ、やや全体優先とし、イエスキリスト教会のナチュラルエコーも存分に取り入れて、この曲の活力と深いロマンティシズムの両面を十全に再現している。


この盤の音源。第1楽章



■ 最後までお読み頂きありがとうございます ■
■↓↓↓ランキングに参加しています↓↓↓■
■↓↓ バナークリックにご協力ください ↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

少し出遅れましたが

同じ盤を聴いております。スウィトナーはどうしてこの版を採用したのだろうと考えて、こんな記事を書いたことを思い出しました。
https://blog.goo.ne.jp/narkejp/e/655c7ee8eba632877a3285f9160f5771

Re: 少し出遅れましたが

narkejp説は説得力のある見立てですね。この時代、ベートーヴェンの交響曲なとでも初稿からの変化はより見栄え(聴き映え)する方向を志向している感じですが、それが本人の真意か外圧によるものか、議論が分かれるでしょう。現代のポップスでもリミックスと称して厚化粧になって再リリースされるなど、同種の問題を抱えているように感じます。
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
音楽とクラシックギターに目覚めて幾年月。道楽人生成れの果てのお粗末。

カレンダー
03 | 2024/04 | 05
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 - - - -
最新記事
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
月別アーカイブ
QRコード
QR
閲覧御礼(2010.10.01より)