テンシュテット&LPO マーラー交響曲第5番嬰ハ短調



先日来聴いているマーラー。今夜も続けて聴こうかと、この盤を取り出した。


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クラウス・テンシュテット(1926-1998)とロンドンフィルハーモニーによるマーラー交響曲全集。1977~1988年のスタジオセッション録音。手持ちの盤は20年近く前にEMIから出ていた一連のボックスセット中の一つ。今夜はこの中から第5交響曲嬰ハ短調を取り出して聴いている。テンシュテットのマーラーはこのスタジオ録音以外に相当数のライヴ盤が出ていて、そのいずれもが高水準だ。このスタジオ録音よりもライヴ録音盤を推す声も多い。第5番も確か数種類が出ていたと記憶する。手元にも日本公演でのライヴ盤がある。

テンシュテットの演奏を聴くたびに、もう少し長い間活躍してほしかったと思わざるを得ない。西側への登場がすでに壮年期になってから。以降、ドイツ的な重量感のある演奏で人気を博した。特に晩年ベルリンフィルといくつかの録音を残しているが、そのいずれもが重量級の素晴らしい演奏だ。このロンドンフィルとのマーラーも、さずがにオケの力量はBPOにいささか譲らざるをえないが、多少のハンディキャップを考慮してもこの曲の演奏の中で最有力の一つだろう。

第1楽章冒頭から重々しい響きとテンポで始まる。緩急とダイナミクスの幅が大きく、ときにうねるような表情付けもあって、昨今のさらりとしたマーラー演奏とは一線を画す。そういう言い方をするとバーンスタイン風の感情過多の粘着質な演奏かと思われそうだが、そうではない。音響的には決して騒がず、理性的な抑制が効いていて、造形の厳しさを感じさせる。聴いているこちらも、熱くはなるが、同時に客観的な冷静さも失わないで聴くことができる。こうしてあらためて聴くと、冒頭の葬送行進曲や第4楽章アダージェットばかりではなく、他の楽章もまったく隙のない名曲であることを実感する。

このロンドンフィルのとのスタジオ録音はアナログ録音からデジタル録音への移行期にあたり、一部にオケの力量共々批判を受けるようなところもあるにはあるが、この第5番に関しては十分納得のいく音の状態だ。特にグランカッサやコントラバスの空気感を感じさせる低い帯域の音も量感豊かにとらえられていて、小型密閉式の例のFalcon_Q7で聴いていても低重心な音響が楽しめる。全集全体を通して、歪っぽくなりがちな合唱が入らない曲に関しては問題ないレベルだろうと思う。 純粋に音楽的な解釈と音響構成でマーラーを堪能できる名盤だ。


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この盤の音源で全楽章。


同じコンビによる同曲第2楽章冒頭。1988年ライヴ@ロンドンフェスティバルホール。


この曲をポピュラーにした第4楽章アダージェットは様々な場面で聴くことが多い。2012年東京駅復原の際にはJR東日本のCMで使われた。



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