ブライロフスキー ショパン ピアノ協奏曲第1番ホ短調



先日聴いたポリーニで思い出し、このところショパンの協奏曲を続けて聴いている。きょうもその流れで、こんな盤を取り出した。


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アレクサンダー・ブライロフスキー(1896-1976)が弾くショパンのピアノ協奏曲第1番ホ短調。オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団がバックをつとめる。1961年録音。リストの「死の舞踏」が併録されている。 手持ちの盤は70年代半ば、CBSソニーから「ヴィルティオーゾの饗宴」というシリーズの廉価盤で出ていたときのもの。音盤棚の中から本当に久しぶりに取り出した。

ブライロフスキーの名は今ではほとんど聞くことがないように思う。ぼくがクラシックを聴き始めた70年代半ばにはすでに「かつてのヴィルティオーゾ」だった。ショパン作品の演奏で名を成し多くの録音を残したが、その録音も戦前から50年代前半のものが多い。世代的には並ぶものの、60年代以降も良好なステレオ録音で多くショパン作品を録音したルビンシュタインと比べると少々影が薄い感がある。

ブライロフスキーは1896年にウクライナ生まれ。ホロヴィッツは同郷かつキーウ音楽院の後輩にあたる。二十歳過ぎにパリでデビューし大成功をおさめ、以降革命後のロシアには帰らず、ヨーロッパ・北米で活動した。19世紀後半からのヴィルティオーゾ風の遺風を受け継ぎながら、その音楽はサロン風な美しさにとどまらず、華麗かつスケールが大きく、ときに骨太であったらしい。さもありなん、久しぶりに聴いたこの盤の演奏からも、そうした芸風が聴き取れる。

第1楽章冒頭のオケは速めのテンポで堂々と始まる。副主題になってもテンポを緩めることなく、これはオーマンディー、ブライロフスキーいずれの意図なのかと思っていると、ブライロフスキーのソロも同様に速めのテンポで入ってきた。恰幅のいい弾きっぷりだ。細かなニュアンスにこだわりぬいて聴かせようという意図はないのだろう、太い音色と堂々とした打弦はまさにヴィルティオーゾの一つの典型かもしれない。楽章半ばの佳境に入り、技巧的なフレーズが続くあたりでは、現代の鍛え抜かれたメカニズムを繰り広げるピアニストに比べるまでもなく、素人のぼくが聴いてもあちこちで曖昧さが露呈する。しかし第2楽章になると、そうした特性が音楽の性格にぴたりと一致し、細部にこだわることなく、構えの大きな弾きぶりだ。

歌舞伎の世界などで、せりふ回しや所作のうまさではなく「役者の格でみせる」という芝居や演技がある。そこにいるだけ、ひと言語るだけ、ひと振りの所作、しかし堂々した存在感。今風にいえばオーラというところだろうか。このブライロフスキーのショパンを聴いていると、まさに「格で聴かせる」かつてのヴィルティオーゾの風格を感じる。


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この盤の音源。第1楽章


この盤全曲のプレイリスト。 全3楽章とリスト「死の舞踏」が続く



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