ジョン・ウィリアムス(g)の日本デビュー盤



自宅周辺の桜もようやく開花。ここ何年かではもっとも遅いらしい。近年が異常に早かったというべきか…。 さて、四月最初の週末日曜日。宅内野暮用少々。昼過ぎからはやる気のない道楽部屋の片付け。作業用BGMにこの盤を聴きながら、ひと汗かいた。


202404_JohnWilliams.jpg


1963年キングレコード発売のジョン・ウィリアムス(1941-)のLP盤。収録曲は以下の通り。トローバとポンセという、当時の盤としては中々玄人好みの選曲だ。

 ソナチネ、夜想曲、カスティリャ組曲(以上トローバ)
 ワルツ、主題と変奏・終曲、12の前奏曲(以上ポンセ)

ジョンというとCBSのイメージがあるが、CBSと契約したのは1964年で、それ以前の録音が数枚、ウェストミンスター他から出されている。ジョンのファンサイトにあるディスコグラフィによればこの盤は1961年の録音。彼の3枚目のアルバムにあたる。先年リリースされたボックスセットも、CBS及びCBSソニーでの録音を集めたもので、それ以前の盤は含まれていないようだ。このキング盤はおそらく日本での最初のアルバムだろう。そしてこのレコードが出た1963年にジョンは初来日している。

以前も書いた通り、クラシックギターを始めた70年代初頭の高校時代、ジョンの演奏がすこぶる気に入っていた時期がある。自在極まるセゴビアや時々妙なアーティキュレーションを繰り出すイエペスに馴染めなかったのだ。ジョンは正確無比できっちり型に収まる演奏という印象で、何よりもその正確さが十代にぼくには魅力だった。この盤はジョンの最も初期のものの一つで、セゴビアからプリンス・オブ・ギターの名を冠されていた時期だ。今聴くとさぞやつまらない演奏ではないかと予想しながら針を落としたのだが、見事に裏切られた。
トローバもポンセも、無論正確でおよそミスとは無縁の弾きっぷりだが、味気ないという印象はない。少なくても当時よくあったラテン系奏者の拍節感のない歌いまわしより余程好感が持てる普遍的なヨーロッパの音楽を感じさせる弾きぶりだ。録音はややデッドでギターの素の音が聴こえ、低音もたっぷりとし高音は妙な甘さがなくすっきりしている。そして60年代後半以降の録音ではあまり感じることのない、当時寵愛を受けていたセゴビアからの影響も随所に感じられる。フレーズが切り替わったときの音色変化、和音の弾き方、ちょっとした見得の切り方など、セゴビアの録音を彷彿とさせる箇所かいくつかあって驚いた。

このデビュー盤以降、日本はもちろん世界中で彼の名は広まり、名実ともにクラシックギター界のトップを走ることになる。この盤はその起点ともいうべき、二十歳のジョン・ウィリアムスが残した貴重な録音だ。


<追記>
非公開コメントで「この盤の使用楽器はアグアドではなくフレタ」「LPとYouTube音源=CDとではピッチが異なる」との情報をいただいた。使用楽器に関してうっかりフレタの存在を忘れていた。ジョンは1961年製フレタを使っていて、その後エルナンデス・イ・アグアドを使い始めたはずだ。よって1961年録音のこの盤での使用楽器はフレタの可能性が高いので記述を削除した。またLPとYouTube音源のピッチはぼくが自分のセットで聴く限りは、明らかな違いは感じなかった。幸か不幸かわずかなピッチ違いを感じられないぼくの耳のためだろうが、詳細比較はしていないので厳密には分からない。もちろんプレイヤーの回転数はストロボで確認済み。YouTube音源のピッチについては音源供給元にでも問い合わせないと分からない。
ジョンが使った2本のフレタについては以下のサイトに参考情報がある。
https://www.jasonwaldron-guitarist.com.au/fleta_guitars.html


■ 最後までお読み頂きありがとうございます ■
■↓↓↓ランキングに参加しています↓↓↓■
■↓↓ バナークリックにご協力ください ↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村



この盤の音源。モレノ・トローバのソナチネ第1楽章


同 モレノ・トローバの夜想曲



上述のディスコグラフィにある初期録音をまとめたプレイリスト。取り上げた盤とヨーロッパの民謡集が続く。



■ 最後までお読み頂きありがとうございます ■
■↓↓↓ランキングに参加しています↓↓↓■
■↓↓ バナークリックにご協力ください ↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
音楽とクラシックギターに目覚めて幾年月。道楽人生成れの果てのお粗末。

カレンダー
04 | 2024/05 | 06
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
最新記事
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
月別アーカイブ
QRコード
QR
閲覧御礼(2010.10.01より)