ケンペ&ミュンヘンフィル ブラームス交響曲第3番
小雨混じりの日曜日。いつものように何をするでもなく一日が終わった。このところ昼間は20℃を越える暖かい日が続いていたが、どうやら明日からは気温もぐっと下がり、この時期らしい寒さになるとの予報。そろそろ身辺も冬支度か。文化の日から続いた四連休も終わって明日から仕事復帰という晩、晩秋に相応しくブラームスでも聴こうかと、中でもこの季節に相応しい第3番のレコードを取り出した。70年代半ばにルドルフ・ケンペが当時の手兵;ミュンヘンフィルハーモニーを振って録音したブラームス交響曲全曲(写真右)の中の1枚だ。


ケンペについては、以前彼の振るブルックナーの盤を記事に書いた。派手さとは無縁で堅実な職人指揮者というイメージがあったケンペだが、50年代からベルリンフィルを振ったり、ドレスデンのオケとリヒャルト・シュトラウスの管弦楽曲を録音したりと、日本での人気が高まる前から欧州では一流の評価がなされていたのだろう。ミュンヘンフィルとのブラームス録音は彼の晩年の録音ではあるが、指揮者としては夭折だった彼のキャリアからすれば、まさに充実した壮年期の演奏記録と言える。この盤の第3番も、どこをとっても充実した音楽が鳴り響く立派な出来映えだ。
やや早めのテンポを採った第2番などと違い、この第3番でケンペは中庸よりややゆっくりめのテンポ設定で曲を始める。どこかのパートを強調したり、テンポを煽ったりすることもなく落ち着いた歩みだ。特に緩徐楽章がいい。第2楽章は淡々と曲を進めながらも、ブラームスが仕組んだ聴かせどころ、終盤の弦楽のフレーズなどは深い呼吸で歌い抜く。第3楽章も有名になった主題をフレージングは相応に起伏を持たせて訴えてくる。それでも全体としては整然とし、この曲に相応しい落ち着きと節度を崩さない。第3番をこうした演奏で聴くと、しみじみ秋の深まりを感じる。
残念ながらケンペがこの曲を振っている映像はないが、ケンペと並んで中欧の堅実派指揮者という評価だったスィットナーがN響を振った演奏があったので貼っておこう。先年亡くなったスィットナーだが、この映像あたりが元気な姿の最後だった。ゆっくりめのテンポで楚々と歌う。しみじみ…というのは正にこの演奏のためにあるように思う。
こちらはケンペの他、クーベリック、サバリッシュ、レーガーといったお馴染みの指揮者がつどい、バッハのコンチェルトを弾いている貴重な映像だ。独語のやり取りは残念ながら分からないが、全体のまとめ役はクーベリック、ピアノの名手でもあるサバリッシュも盛んに意見を出している。ケンペはレコードジャケットの姿そのまま。70年代半ばの記録だろう。
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