ショパン生誕200年

今年2010年はショパン生誕200年だそうだ。折りしも5年ごとに行なわれるショパンコンクールの開催年でもあり、この9月から10月にかけて首都ワルシャワでは熱い戦いが繰り広げられていた。その最終結果が昨日10月21日午後に発表された。ロシアのユリアンナ・アヴデーエワという女性が、女性としては1965年のマルタ・アルゲリッチ以来45年ぶりとなる優勝に輝いたそうだ。ちなみにロベルト・シューマンは生誕200年だし、レナード・バースタインは没後20年でもある。こうした区切りに手を変え品を変え、企画物のアルバムも発売される。普段は音楽と関係の薄い雑誌でも特集が組まれたりもする。少し前のことになるが、セレブ向けグラビア誌のショパン特集が目に留まったので買ってみた。


家庭画報 2010年7月号ショパン特集


ショパンの故郷ポーランドの紹介とショパンゆかりの地を訪れるという定番の企画だが、そのためにユーミンをポーランドまで飛ばしてしまうあたりは、バブリーなにおいがプンプンする。まあその辺が家庭画報の家庭画報たるゆえんか。こういう雑誌もあっていいだろう。何でも激安・価格破壊ばかりでは味気ない。この特集号にはCDが1枚付録でついていて、ショパンの有名な小品がひと通り納められている。音源からするとNAXOSレーベルからの編集物のようだ。このCDを聴きながらポーランドの景色をバックにしたユーミンのファションを眺めているうちに、ポーランド行きのツアーチケットを予約するセレブもきっといるのだろう。それはさておき、ぼくはショパンの熱心なファンでもないし、ピアノ曲に精通しているわけでもないのだが、実はここ数年ショパンのアルバムはちょこちょこと買っている。その中から2、3紹介しておきたい。


マリア・ジョアン・ピリスの後期作品集   クリスティアン・ツィマーマンのバラード集
ピリス ショパン後期作品集     ツィンマーマン ショパンバラード集

ぼくの中では、ショパンの音楽は『静かなる郷愁』というイメージが先に立つ。パリ社交界で持てはやされた彼の一部の曲想からくる明るく華やかなイメージは、彼のもつ様々な面の一部に過ぎないように思い、手持ちの盤を聴くときも、後期・晩年の作品や、幻想曲・マズルカなどを好んで聴くことが多い。ピリスの弾く後期作品を聴いていると、有名な子犬のワルツでさえも、静かな憂いに満ちているように感じる。ツィマーマンの弾くショパンもしかりだ。いずれも弱音のコントロールが抜群で、ピアノの響きが静かに部屋に満ちる。単純に人のセンチメンタルをかき立てるような気配は微塵も無いのだ。


ツィマーマンによるピアノ協奏曲1番・2番
ツィンマーマン ショパンピアノ協奏曲第1・2番

ショパンと同郷のツィマーマンが持つショパンへの共感いかばかりか。この協奏曲の演奏を聴くと、その思いが伝わってくる。彼は自分のイメージを具現化するために、伴奏のオーケストラまで自らの目にかなうメンバーを集めて組織した。そして解釈の一部始終を徹底的にすり込んで完成したのがこのアルバムだ。この演奏を最初に聴いたのは車で移動中のFM放送だったと記憶しているが、思わずブレーキを踏んで車を路肩に付けて聴き入ったほどだ。表情付けは濃く、一音一音の意味を込めていく。賛否両論分かれるアルバムだが、ぼくは大好きだ。

大御所ルビンシュタインの弾く大らかで安定したショパンもいいが、ピリスやツィマーマンのような格別の思い入れをもった演奏家の1枚こそ、ショパンを聴くに相応しい。

<空耳情報>
ショパンのピアノ協奏曲第1番、開始1分ほどで出てくる甘い旋律の第2主題はどこか郷愁を誘う。そう、都はるみの『北の宿から』の出だしにそっくりだ。この主題に合わせて、~あなた変わりはないですか~と歌ってみよう。ホラ、ぴたりとハマるでしょ!


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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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