マイ・ギター <その7> ヤマハGC-3D@1971年
今週は物欲小爆発。きのうの記事で20年物のオーディオアンプを手に入れたことを書いたが、きょうは40年物のギターだ。ちょとだけ物欲のお裾分けを。タイトルがマイ・ギター<その7>となっているが、現在所有の本数とは無関係。単なる記事の通し番号だ。以前紹介したマイ・ギターのうち2本は最近手放している。何だか言い訳がましいが、念のため。
さて、手元には何本かのギターがあるのだが、多分楽器の扱いについては人一倍気を遣っていると自認していて、弾きキズはあるものの手垢やホコリは皆無、弾き終わればケースに入れてしっかり管理している。一方それがあだで、楽器をいつも身辺に転がしておいて気軽に手に取る状況ではない。高校時代から使っていた古い楽器もあったのだが、少し前に地元の学生に譲った。そんなわけで『普段使い』の楽器を1本欲しいなあと物色中だった。
今回手に入れたのは1971年製のヤマハ;GC-3Dというモデル。ぼくが高校生の頃のギターだ。大阪のある専門店のサイトの上がった直後に見つけて、すぐに購入を決めた。元々『普段使い』の候補として頭にあった楽器だ。
当時ヤマハはスペインの製作家;エドアルド・フェレールの指導を受け、本格的な手工ギターの生産に取り掛かっていた。有名な江崎氏が渡西してエルナンデスの工房で出入りする少し前のことだ。その初期モデルとしてGC-3/5/7/10というシリーズが発売された。それぞれの数字のあとに『万円』を付けるとそのまま販売価格になる。この頃からだろうか、日本のギターの型番には数字が『号数』として付けられ、それが値段を表わす慣例が定着した。高校生のバイトが一日千円の時代。当時3万円のGC-3は今の価値にすれば15~20万円ほどだろう。




iPhoneからポチッた翌日には荷物が到着した。写真では少々分かりずらいかもしれないが、40年を経過しているとは思えないほどきれいな状態だった。表板に多少の弾きキズはあるが、裏板やネックはほとんど無傷、塗装面も新品の輝きといってよいほどで驚いた。販売店の店主によれば、前オーナーは大変丁寧に扱っていた由。弦長は658mm、表板はヤマハ得意のえぞ松、横裏板はパリサンドル(インドローズ)、指板は黒と茶の縞模様が美しい縞黒檀の良材が使われている。ネックやフレットの状態もよく、問題となる部位は何もなかった。ラベルには製作者;金子隆英のサインがある。
慎重にチューニングをして弾き始める。
長めの弦長にも関わらずテンションは柔らかめに感じ、ネックの形状がよいのか弾きにくさは感じない。ウルフトーンはG#辺りにあるがそれほど顕著でない。低音から高音までストレスなく平均的によく鳴っている。一世代前のスペインの楽器のように低めのウルフトーンでドーンとなる低音ではなく、やや腰高のバランスではあるが強さとサステインがある低音だ。高音は太くもなく細くもなく中庸の鳴り方ながらパワーはそこそこありそうだ。旧友Y氏の話では、ヤマハの指導に当たったフェレールは当時ラミレス工房から委託を受けて、ラミレスブランドの下位モデルも作っていたとのこと。そこで手元にある当時のスペイン製ギターのスタンダードともいえる1978年製ラミレス3世と比べるみると、さすがに音量・各音域でのバランスともラミレスに軍配が上がるが、音の傾向はよく似ていて、ラミレスの下位モデルといわれえばそうかなと思ってしまうほどだ。メロディーラインを歌わせようとするとストレスなく音が付いてきて気持ちがいい。一方で和音を鳴らしたとき音の調和感や必要な分離といった面や低音をベースにしたピラミッド型のバランスと分離のよさがほしいポリフォニックな楽曲では少々不足を感じる。
まあ40年前のものとはいえ、まずまずの音の手工ギター・エントリーモデルの美品が、ちょっとしたブランド品の財布程度の値段で手に入ったことで物欲の小爆発も収束。デスクサイドに置いて可愛がってあげよう。
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