クララ・ハスキル ベートーヴェン ピアノ協奏曲第3番ハ短調


節分そして立春だ。気温もこの時期から上向いてくる。きょう土曜日は昼間の気温も久々に10℃近くまで上がって寒さも一服。一日終えて深夜のひととき、ゆっくりレコードでもと思いアンプの灯を入れてウォームアップを待っている間にソファで寝入ってしまった。気付けばすでに日付けが変っている。気を取り直して熱い珈琲を一杯。せっかくアンプを暖めていたのだからと、音盤棚を見回して選んだ盤がこれ、クララ・ハスキルのベートーヴェンの協奏曲第3番ハ短調だ。イーゴル・マルケヴィッチ指揮コンセール・ラムルー管弦楽団が伴奏を付けている。


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このコンビによるモーツァルトの20番と24番の協奏曲は名盤の誉れが高い(写真のLP盤)。今夜聴いたのは同じコンビによる演奏で数年前に廉価盤CDで出たベートーヴェンのハ短調の協奏曲。ベートーヴェンのソナタから第17番<テンペスト>と第18番も収められている。実は久々にこの演奏を聴いたのだが、以前聴いた際の印象を随分違っていた。もっと先鋭的だったように記憶していたが、何かの記憶違いかと自分でも思うほど穏やかな演奏だ。
このハ短調の協奏曲はモーツァルトの24番に似た印象的なオーケストラの導入部で始まる。この導入部からしてマルケヴィッチ&ラムルー管の音色はまるでヴェールを被ったように柔らかく穏やかだ。ロシア物などでみせるキレ具合いとはまったく印象が違う。録音の録り方もあるだろう。フィリップス・サウンドといえば、なるほどそうかもしれないと合点する。オケの音はしっかりした低音部にのった安定した響きだし、ハスキルのピアノの音色も極上の美しさだ。
第1楽章はハ短調という調性が持つ悲劇性というよりは、まるで静かに悲しみを堪えているように聴こえる。第2楽章も穏やかに歌うし、第3楽章もロンドの指定ながら突っ走るような気配は皆無だ。やや遅めのテンポをとり、オケ、ピアノともに実に丁寧に弾き進めていく。こう書くと何となく手ぬるい演奏のように思われそうだが、そうではない。オケもピアノも一つ一つのフレーズをかみ締めるように丁寧に扱っているといえばいいだろうか。もともとハスキルが持っていた資質に、マルケヴィッチがそれを引き出すようなサポートしているのだろう。
併録されているベートーヴェンのソナタも力で押す演奏ではなく、美しい音色と穏やかなフレージングが生きた演奏だ。あのチャールズ・チャップリンをして、「私の生涯に出会った天才はチャーチル、アインシュタイン、そしてハスキルだけだ」と言わしめる天賦の才に恵まれながら、若くして病魔に冒され、ナチスに追われたハスキルの過酷な人生を思うと、晩年のこれらの演奏を裏付けるものが分かるような気がする。


バッハのトッカータ・ホ短調。動画コメントによればハスキル58歳のときの演奏。




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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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