トルトゥリエ チェロ・リサイタル@1972年東京


きょう土曜日も当地群馬県南部は陽射しに恵まれたものの終日空っ風が吹きぬけ、外に出ると寒い一日だった。野暮用ほかで何となく一日が終了。夜も更けてきて例によって珈琲で一服。昨晩に続いてチェロのレコードを取り出した。このブログでは度々登場しているフランスのチェリスト;ポール・トルトゥリエ(つい先日も書いたなあ)が1972年に来日した際に録音した盤だ。伴奏を岩崎淑が弾いている。


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1972年といえばぼくが高校2年のとき。立川澄人と鳥飼久美子が司会をつとめていたNHKテレビの『世界の音楽』(懐かしい!)に、ちょうど来日していたトルトゥリエが出演してドヴォルザークのチェロ協奏曲の第3楽章を弾き振りしたのを覚えている。このレコードのライナーノーツはトルトゥリエの弟子;倉田澄子が書いているのだが、その記述によれば、このレコードの録音はリサイタルのすぐ翌日に世田谷区民会館で行われたとある。そのためかこの盤はリサイタル当日の熱気をそのまま聴く趣きがあって貴重な録音だ。

曲目はヴァレンティーニのチェロ・ソナタに始まり、サン=サーンス、フォーレ、グラナドスなどのチェロでよく弾かれる曲、またパガニーニやラヴェル、ドヴォルザークの編曲物など多彩なプログラムが続いている。1972年といえば1914年生まれのトルトゥリエは58歳。まだまだ技巧的も万全の頃だった。実際この盤でもテクニカルなピースをいくつか弾いている。元々ヴァイオリンのために書かれたパガニーニの「ロッシーニの主題による変奏曲」と「常動曲」、またサラサーテの「サパティアード」でみせる技巧の切れは素晴らしいの一言だ。一方、フォーレ「夢のあとに」やグラナドス「ゴエスカス間奏曲」での歌ごころも文句なしにいい。録音もややオンマイクながらチェロの音をリアルにとらえていて、少し大きめの音量で聴くとあたかも目前にトルトゥリエがいるかのように聴こえる。この頃伴奏ピアノで名をはせた岩崎淑がまたいいセンスだ。ゴエスカス間奏曲の冒頭、単調なピアノ伴奏にのせてチェロがひとしきり歌ったあと、ピアノのフレーズが出てくるあたりの雰囲気や入り方は絶妙でゾクッとくるほどだ。
この盤、残念ながら現在CDでは出ていない様子。代わってトルトゥリエのEMI録音を集めたボックスセットが20枚組三千円余で出ていて、この中には1972年の東京録音も含まれている。

トルトゥリエの夫人もチェリストだった。家族で演奏した映像があったので貼っておこう。




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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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