メータ&ロスアンジェルスフィル ストラヴィンスキー 春の祭典


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さてきょう日曜は一日冷たい風が吹き抜けた。寒暖を繰り返しながら次第に春になっていく。季節の中でいつが好きかと聞かれたら、迷わず秋と冬と答える。反対に春と夏は苦手だ。夏は物理的に、春は心理的に意気消沈する。満開の桜の下をガールフレンドと手をつないで歩いた思い出でもあればいいのだろうが、とんと縁がなかった。受験に失敗した、片思いすら敗れた、それに反して世間は浮き立つ…そんなところが原因だろうか。春の生暖かい陽気と浮世離れした光景をみる頃になると、どうもいけない。しかしそんな気分でも春になると聴きたくなる音楽もあって、きょう取り出したストラヴィンスキー『春の祭典』などはその一つだ。もっともこの曲、というよりは元のバレエそのものが、春爛漫の享楽とはほぼ遠い内容だ。この曲あるいはバレエ同様、春にはどこか妖しく、残酷かつエロティックな空気がある。


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さて、ほぼ1年ぶりで春の祭典を聴こうと思い、レコード棚からメータとロスアンジェルスフィルの盤を取り出した。ズービン・メータが同オケのシェフとして全盛期を築いたのは1962年から1978年。この録音はその半ば1967年に録られていて、その後70年代を通じてこのコンビのシンボル的録音として人気を博した。写真の盤は社会人になった1978年に『ツァラトストラはかく語りき』との2枚組で出た際に買い求めた記憶がある。ジャケット裏表紙の写真をみると、アメリカ楽壇のパトロンとして重要な役割を果たす社交界マダム達を熱狂させたエキゾチックで精悍なマスクもあって懐かしい。

久々に針を降ろしたのだが、演奏・録音とも色あせることなく素晴らしい。そもそもこの曲を録音しようという団であれば、難曲とされるこの曲にも自信をもって臨んでいるだろうし、40年以上前とはいえアナログ録音技術の完成された時期の英デッカによるセッション、悪かろうはずもない。
冒頭、大地礼賛の序奏でファゴットがテーマを奏で、それに木管群が次第に絡んでいくあたり、各ソロ楽器の聴こえ方がホールでの実演に近い。ほどよい距離感と左右の広がりが見事に再現されている。主部に入ってからの切れ味のいい弦楽群や決め所で現れるグランカッサやティンパニなどの一撃もいいバランスで聴こえてくる。第二部は静かなラルゴの夜の音楽で始まる。フルートやヴァイオリンのソロで官能的なメロディーが現れ、次第に音楽は熱を帯びていく。トランペットの印象的なメロディーでいけにえの儀式が始まり、曲はクライマックスへ向かう。
久々に聴いて、初演の際の騒動はさもありなんと思いつつ、21世紀の今聴くと整然とした古典になりつつあるなあとも感じた。


80年代初頭のN響の懐かしい面々。
そして変拍子と5管編成の複雑なオーケストレーションのこの難曲を暗譜で振る当時48歳の岩城宏之。




こちらは同じ部分のバレエの様子だ。





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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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